小説・漫画好きの感想ブログ

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森博嗣の名古屋(名護屋)シリーズ

 こんばんは。あんまり通信状況がよろしくないので短めに。
 golさんから質問いただいた、森ミステリで名古屋を舞台にしたミステリということで、とりあえず代表的なシリーズ物をいくつか。ただし、作品中では名古屋ではなく那古野と表記されていて、このあたりのことについいては名護屋という表記ともからめて論じなきゃいけないところではあるんだけれど、割愛。どれもが、愛知県の県庁所在地の都市をさしているのは間違いがないところなので。
 ということで、名古屋が舞台ということであれば、森博嗣メフィスト賞の初代受賞者として華々しくデビューした作品の「すべてがFになる」を第一作とする。S&Mシリーズと、その主要人物たちと同じところを物語の舞台とするVシリーズ。この二つを押さえておけばまず間違いはないと思います。 
 ここから派生するギリシア文字シリーズや、四季シリーズ、Xシリーズなどというのもありますが、それもこれもこの二つのシリーズが気にいってからでいいと思います。
 S&Mシリーズは、犀川創平という助教授と、学生の西之園萌絵という二人が主人公で、好奇心の固まりの西之園萌絵がいつも事件に巻き込まれ、やむなくといった感じで創平が事件を解決するというパターン。どちらかといえば、主人公達はクールで天才的な頭脳のせいかちょっと常人とずれているところもある。巻き込まれ型の名探偵といった趣きだが、好みはわりとハッキリ別れる作品。個人的には、ミステリのトリックの出来具合がけっこう気にいっているし、日本の本格ミステリの歴史を辿る中では「すべてはFになる」は読んでおくべき作品の一つかなとは思います。
 ただし、個人的な好みでいうと、群像青春ミステリ的な要素とルパン三世のようなちょっとおしゃれな泥棒が活躍するという意味ではVシリーズのほうが好きだし、一般受けするかなと思います。感覚としては「めぞん一刻」なんかもテイストとして近いかも知れません。いや、あくまで個人的な感想ですが。あ、あとこちらではジェンダーの話がよく出て来ます。主要メンバーの一人からして、女装というか女子の格好をしている事が多い人物も出て来ますし。
 シリーズ物ですので、どっちもとばしとばしいくよりは「すべてがFになる」と「黒猫の三角」のどちらも読んでみて、気にいったほうのシリーズから読んでいってもよいかも知れません。ただし、シリーズ全部を愉しみたいなと思うと微妙な相関関係考えると、人形式モナリザまでいったら先にSMシリーズにいくべきかな。

S&Mシリーズ
すべてがFになる The Perfect Insider
冷たい密室と博士たち Doctors in Isolated Room
笑わない数学者 Mathematical Goodbye
詩的私的ジャック Jack the Poetical Private
封印再度 Who Inside
幻惑の死と使途 Illusion Acts Like Magic
夏のレプリカ Replaceable Summer
今はもうない Switch Back
数奇にして模型 Numerical Models
有限と微小のパン The Perfect Outsider

[編集]Vシリーズ
黒猫の三角 Delta in the Darkness
人形式モナリザ Shape of Things Human
月は幽咽のデバイス The Sound Walks When the Moon Talks
夢・出逢い・魔性 You May Die in My Show
魔剣天翔 Cockpit on Knife Edge
恋恋蓮歩の演習 A Sea of Deceits
六人の超音波科学者 Six Supersonic Scientists
捩れ屋敷の利鈍 The Riddle in Torsional Nest - 講談社ノベルス創刊20周年「密室本」の一冊でもある。
朽ちる散る落ちる Rot off and Drop away
赤緑黒白 Red Green Black and White