小説・漫画好きの感想ブログ

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「王様の仕立て屋」19巻 大河原遁著

 この「王様の仕立て屋」累計150万部突破ということで、この19巻と同時に傑作選1として「ナポリ発 スーツ革命」というのも出ています。150万部、、、と一口に言いますが、萌え系の女の子もほとんど出てこず、基本は服を通じて全てを解決していくという美味しんぼの衣服バージョンであって、絵柄も華麗なものではないのにもかかわらず(ファッション漫画としてはある意味すごい)、ここまでの部数が出ているというのはただ事ではありません。それだけの中身があって、という話で、ファンとしては嬉しい限りです。
 さて。
 この19巻は基本に立ち戻ってということで、ナポリの田舎町でサルトを開いている主人公・織部悠のもとに持ち込まれる様々な悩みを、悠が自らの仕立てる服で解決していく短篇が6話収録されています。どれもが綺麗にオチがつき、人情話としてもよく出来ています。個人的には、「孔明の罠」という話が一番気にいりました。応援しているサッカーチームの監督にプレゼントされたモードスタイルのネクタイを前に、モード服とクラシック服の狭間で揺れるレストラン店主の悩みと解決を描いた作品なんですが、クラシックとはなんぞや? という事を掘り下げて描いていて、話、落ち、人情味、蘊蓄の配合バランスがよくて彼らしい作品でした。この調子なら作品もまだまだいけそうで、安心しました。

王様の仕立て屋 19 〜サルト・フィニート〜 (ジャンプコミックスデラックス)

王様の仕立て屋 19 〜サルト・フィニート〜 (ジャンプコミックスデラックス)