小説・漫画好きの感想ブログ

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「王様の仕立て屋」17巻 大河原遁著

 織部悠が主人公の、服飾蘊蓄マンガです。
 蘊蓄マンガという言い方が各地で流行っているみたいなので敢えて使ってみましたが、著者も前書きで書いているようにただの蘊蓄だけで100話まで話が続く訳もなく、面白い漫画であることの上に、蘊蓄が奇麗に話に絡んでいるからこその長期連載であって、ただ単に蘊蓄だけの漫画では当然ありません。
 今回は、前巻の続きでイギリスのサヴィルロウのトラブルに巻き込まれる形でロンドン滞在中の悠が現地での様々な依頼に応える話です。バックグラウンドでは、イギリスの伝統店の職人を引き抜いてできたギルレーズハウスという店と、保守的な店との闘いが続いており、そこにフランスの名門ブランド・リヴァルの親子確執が絡んできていますが、悠はそれはそれとして目の前に現れるお客さんのために工夫を凝らした仕事をしていきます。それが心憎いほどの出来なのです。
 ここまでよくネタがあるなと思うほど、それこそ蘊蓄を交えながらの展開ですが、きっちりと一話完結で楽しませてくれます。そして、いつも思う事ですが、この漫画を読むたびにぼちぼちと新しいスーツを一着仕立てたいなぁと思わせます。この夏には部下の結婚式があるから、礼服でも一着揃えて作ってもらおうかななんて真剣に考えたり。
 美味しい料理マンがを読むと美味しいものが食べたくなるのと同様、服を買ったり作ったりしたくなる一冊です。
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王様の仕立て屋 17 〜サルト・フィニート〜 (ジャンプコミックスデラックス)

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