小説・漫画好きの感想ブログ

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小沢さんの今回の騒動に関して

 
 おはようございます、樽井です。
 昨日はあのあとちょっと怪我をして、書き込みが本日になりました。
 小沢一郎民主党党首の今回の辞任劇ですが、あれは非常に危機感を感じるとともにかなり不愉快な事件だったと自分は認識しています。何に対して危機感を持ち不愉快であったかというとマスコミの報道に対してです。
 小沢党首と福田首相の党首会談は本来ずっと国会での論戦を行うというスタンスの民主党の主張で行われていませんでした。それが、今回はねじれ国会の現状を鑑み、行われました。ここまではまず妥当な話で、それはそうであろうと誰が考えてもわかるおとしどころです。そこで話し合われるであろうことが、双方にとって頭のいたい国民に対して「こういう政治をしている。こういう事を決めていっている」という結果をまったく出せない現状に対してのことであるのは誰が考えてもわかることです。自民党にしてみれば鳩山法務大臣の不謹慎というか危険なテロリスト・アルカイダ発言や、あいかわらず不祥事続出の社保庁・防衛省の問題で身動きできない状態から脱却することこそ緊喫の問題であったし、民主党からすればなんでも反対しているだけと見られることへの危惧からはやく事態を打開することが必要でした。双方にとって、テロ特措法は足かせになりすぎていました。それ故のそれ以外の部分で政治をすすめる為にも党首会談は必要事項であったのは間違いありません。
 僕が問題にしたいのは、その党首会談に対するマスコミの報道のありようです。
 翌日には早くもテレビや新聞には大連立打診、小沢氏拒否という文字が躍ります。
 しかし、この時点ではどのマスコミも真相はまったく掴んでいませんでした。あくまで、そのような事があったのではないかという憶測だけです。それが証拠に新聞によっては、「、、、の模様」「、、、と予測される」といった曖昧な形の結びです。それが更に半日たつと、連立の話が実はあったのだということが具体的にある程度伝わったとみえて、事実としてそれはニュースになりますが、昨日の朝の時点でもまだまだ内容は中途半端なもので、たぶんに恣意的なものでした。
 その決定的な証拠が新聞社によって連立を持ちかけたのが、福田首相のほうであったり、小沢党首のほうであったりすることと、そのための合意内容がばらばらな事です。この時点でも、各新聞・マスコミは「連立の提案があったが、民主党の役員会ではその提案は否決された」という大枠の事実の上に、自社の主張や憶測で記事を作っています。中には、小沢氏のほうが民主党を裏切って連立を画策したという説を載せたところもあります。結果、これが昨日の夕方の小沢氏の辞任劇に繋がっていきます。
 さて。ここで本当に目を向けないのはどこでしょうか。それはこのマスコミの報道のありようではないでしょうか。かねがね思っていましたが、日本の新聞に限らず、新聞は原理原則として、理念として、事実の報道をまずしなければならないし、社会的存在の大きさから(あきらかに政治的な思想的な色分けは認識されているにせよ)いたずらに政局を混乱させるべきではないのにも関わらず、今回の件ではただただ政治の混乱という視聴率のとれる読者の興味をかきたてることのほうを優先してあえて事実に目をそむけて混乱をあおりました。
 このことを大変に僕は危惧します。
 もちろん、マスコミとても企業ですから顧客を掴むのに躍起な部分もあるでしょうけれど、前回の麻生太郎氏が福田現首相に負けた時の自民党総裁選もクーデター説や陰謀説、実際の街頭占拠での印象とかけ離れたアンケート調査結果などで占拠を情報で操作したような局面が多々あり、政治のトップの交代をいかにおもしろおかしくやるか、片方を持ち上げては落とし、次はその対戦相手を持ち上げては落としという事ばかりに腐心しているようで非常に不快感を覚えます。
 特に今回の小沢氏に対してのマスコミのありようは、陰謀説や密室劇、クーデター、党を崩壊させる破壊者などと言いたい放題です。が、そうさせているのはマスコミ自身という極めて異例の事づくめです。その点では小沢氏が辞任に対して発表した意見に同情を禁じ得ません。政治の場では、言葉尻をつかまれたり、誤解をさけるような言い方を議員はすべきです。が、あそこまで事実に基づかない形の報道で混乱させられたり、周囲がごたついてしまえば、やりたい事もできません。
 僕は、あらためて書きますが、個人的には小沢一郎という政治家に対して特に思い入れはありません。
 プラスの評価をしている部分もありますし、マイナスの評価をしている部分もあります。
 しかし、彼が今回の安倍総理の突然の辞任劇以降の今後の日本の政治というものの中で果たす役割は極めて大きい人物になる予定だったのは間違いがないと思います。よきにつけあしきにつけ、日本がどういう国になっていくのか、ということを一人一人が考える契機になるような事をする政治家であったと思います。それが、政策の内容や、個人の失態ではなく、党首会談という果たすべき役割をした事を利用されて完膚なきまでに潰されてしまったのが残念だと思います。
 マスコミはマスコミの役割、社会性というものに留意した上で事実に即した報道をして欲しかったし、今後もそうあって欲しいと思います。今回の一件で次の選挙では各社が希望するように衆議院は自民党が大勝するでしょう。民主党は参議院を砦にするより他はなくなります。しかし、それで政治の何が変わるのかといえば何もかわらない、今よりも後退したなしくずし的な場当たり的な形の議論しか国会ではうまれなくなり、いつの間にやら消費税が納得もされないままアップされ、若年層の雇用や年金問題も解決しないままになるでしょう。それか非常に残念です。少なくとも大手マスコミはタブロイド誌とは違うのだという自負と自覚をもった仕事をしていただきたかったです。