小説・漫画好きの感想ブログ

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「エイリアン旋風譚 トレジャー・ハンター八頭大 別巻」 菊地秀行著 

 これも、懐かしいシリーズ物ですが、十年ぶりくらいのブランクで新作でした。
 トレージャーハンターで、最新科学も駆使して財宝を追い求める八頭大。彼と一緒に行動するも、欲深く淫らでお金にうるさい太宰ゆき。この二人が求める財宝には何故かエイリアンの異形の姿がつきまとう。最新科学と鍛錬の賜物の技とを武器に彼らと渡り合う八頭大の冒険は、今にしておもえばジュヴィナルという分野ではダントツに光り輝いていました。
 そのシリーズが新装版への変更完了とともに、ボーナストラックとして一冊まるまる新作だけの短編集として出たのが本書です。
 著者御本人があとがきで書いてあるように、昔と違う部分もあったりしますし、科学のなんでもありが嘘くさくなってしまったところもあるのですが、それでもやはり御本人がおっしゃる通り魅力的なキャラが動き回れば、それはそれでやはり面白いのです。高校生くらいの時に、ゆきのお色気にドキドキしたり、大のなんだかんだいいつつも浪花節なところを格好良く思ったり「エイリアン黙示録」でのキリストとユダの関係の新解釈やら、「エイリアン邪海伝」でクトゥルー的恐怖に堪能したり、「エイリアン怪猫伝」の化け猫にアレンジ次第で怪談もここまでくるのかと感嘆したことなどを思い出しながら読んで感慨がひとしおでした。
 彼らの活躍作品が好きだった人にはお勧め。今回の短篇集中で一番長い中編は、菊地秀行版「ヒドゥン」ともいうべき作品でオマージュ感たっぷりでしたよ。

エイリアン旋風譚 トレジャー・ハンター八頭大 別巻 (ソノラマノベルス)

エイリアン旋風譚 トレジャー・ハンター八頭大 別巻 (ソノラマノベルス)