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「ポアロ 小さな灰色の脳細胞」後藤稔著 感想

名探偵ポアロのすべてがここに!
関西学院大学の高等部の古典の先生でもある後藤稔さんという方がお書きになったのがこの「ポアロ 小さな灰色の脳細胞」という本なのですが、、、先生、マニアックすぎ^^
実はこの後藤先生とは先日の「アガサクリスティー」イベントでご一緒させていただいて、そのご縁でこの本を手にとってみたのですが、、、思っていた以上にマニアックに面白い内容で、読んでいる間に先生の顔が思い浮かんで、、ニヤニヤしながら読ませていただきました。
この本簡単に言えば、アガサ・クリスティーの生んだ名探偵「灰色の脳細胞」エルキュール・ポアロについてのウンチク本です。
第一部は、ポアロはそもそも何故ベルギー人なのか、ポアロはトランプでよく家をつくるけれどそれはどんな家なのか?  彼がどれほど服装やらあるべき秩序について神経質か。ある意味、パラノイア的なまでにどうしてそこまで拘るのか。どれほど彼がチョコレート好か。なんてことが書かれていて、その一つ一つに作中の出典とそれらについての説明がこれまたきちんと書かれています。
ポリフェノールとは何かとか、彼が愛飲するカシス・ド・ドロップの効能は何かとか、そういう細かいところまでそれこそ後藤先生本人がポアロなみに細かくきちんと一つずつに説明されているのがとても微笑ましくて好印象でした。
あと第一部では、ポアロの推理方法、考え方、捜査方法などについても語られていますが、、これを読むとポアロが唯一推理に失敗した事件のエピソードなんかも出て来て、そこから彼のキャラクターなどもより親しみがもているようになっています。
第二部は、一転して、デビッド・スーシェ演じるドラマ版のポワロ(こちらはポワロなのです)を全話取り出して、一話ごとに「あらすじ」「主なストーリー」「原作点との相違点」を描いています。ネタバレがならない程度のあらすじがついているのですが、、全57話きっちりと作り込んであるところに非常にこだわりと愛が感じられます。また完璧なことに、ここでドラマ化されていないポアロ作品も全てリストアップされていて、まるでデータペースのようです。
第三部は、おまけのように各種のコンテストで選出されたクリスティのベスト10に出てくるポアロ作品が挙げられています。クリスティ作品でもポアロ作品が多いのでボアロが多く選ばれることは当然といえば当然なのですが、クリスティといえばボアロというのはニアリーイコールのようなもので、そのトップ10には僕のようなクリスティを全く読んでいない(そうです。やはり僕は先日読んだ「白昼の悪魔」以外のクリスティ作品を読んだことがなかったです)人間でも名前を聞いたことがある「そして誰もいなくなった」「オリエント急行殺人事件」「アクロイド殺し」などの作品が挙げられております。
ということで、この本、作品タイトルが堅いのですが、僕のようなポアロをほぼ知らない、知っている事といえば「モナミを連発する、でっぷりと太ってステッキをもって、ひげが特徴的な」「ヘイスティングというなんでもやる友だちがいる」というそういうような門外漢が読んでも楽しめる本になっているので、今から何か古きよき時代の海外ミステリ読もうかなとか思う人にはうってつけの本になっています。
堪能致しました。
明日はベルギービールかベルギーチョコを食べたいと思います。

ポアロ 小さな灰色の脳細胞 (名探偵を推理する 1)

ポアロ 小さな灰色の脳細胞 (名探偵を推理する 1)