小説・漫画好きの感想ブログ

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「孤独のグルメ」 谷口ジロー著  感想


 一人の男が関東近郊の色々な場所で、色々な物を食べる。
 ただ、それだけの漫画です。
 毎回ちょっとしたショートショートのような趣きの筋立てはあるものの、それもきちんと落ちていないし、落ちないままでいることをそのまま受け入れて、ただ淡々と何かを食べているのがこの話です。特段すごいグルメを食べるわけではなく、鎌倉で餅を食べたり、江ノ島海外んで丼を食べたり、大衆食堂で豚汁と豚炒めを食べたり、甘味処で豆かんを食べたり、そういうことをしているだけです。
 だから、人によっては、これを読んで「なんじゃこれ?」という人もいるかと思いますし、「で、どこが面白いの?」という人もいると思います。実際問題、出てくる食べ物の描写がすごく上手くて、思わず食べたくなるというような趣きでもないので、そういう声も出ると思います。
 しかし、読んでいるとなんだかジワジワとくるものも、またあるのです。
 ひょっとしたら、それは僕が食べるのが好きで、どうせ食べるならちょっとでも美味しいもの、別段高いグルメでなくても、その界隈で一番美味しいもの、或いは今の自分の気分にピッタリのものを探すためには多少の時間や労力を厭わないタイプの人間だからかも知れませんが、どこかしら共感できるものがあるからかも知れません。
 だから、他のグルメ本みたいに、オススメは致しません。
 けれど、ちょっと風変わりな昭和的なノスタルジックな食べ物本をお求めの人がいれば、読んでみてみるのも悪くないですよ、と軽くご紹介しておきます。