小説・漫画好きの感想ブログ

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「夏目友人帳 13巻」 緑川ゆき著 感想 

 夏目友人帳、待望の13巻です。
 今回は、的場一門を狙う妖かし退治に、夏目がかりだされます。そもそもは的場家当主からきちんとした依頼書が来ていたものを夏目は読めないままに借り出され、結果的には半ば家族をたてに脅かされたような形で強力させられます。相手は、人の顔にとりつき、その人物を操るタイプの妖怪。それが的場と対立する組織の誰かに取り付いて、増殖しているようで、的場もなかなかその誰かを見極められずに罠にかけようという段取りなのですが、、、。
 今回の話の胆は、夏目と的場、夏目と名取の関係の微妙な変化でしょう。今までは夏目側からみれば、名取は親しみやすく妖かし達のことについても何でも相談できるポジションで「いい人」、逆に名取は誰でも利用するし妖かしについても人とも思わない(当たり前ですが)ような使い捨ての感覚をもった「嫌な人」というラインでハッキリしていました。しかし、今回の諸々を読むと、夏目の側からも相手の側からしても少しずつそのポシションや関係性が変わりつつあるのかなという気が致します。
 夏目の成長という観点でみれば、当然そういう関係性の変化も含めての人とのつながりが自然であるのですが、夏目に肩入れする一ファンとしては、どう転ぶかもさることながら夏目が哀しいことにならなければいいのになどと思ってしまいます。
 後半二本は、夏目の友人の西村、北本のエピソード。夏目をめぐる優しい友人達の話で、長編人気作だからこそ出来るエピソードでほっと心温まります。夏目友人帳らしい雰囲気のお話で、いい意味で少女漫画の繊細さや切なさが堪能できるお話でした。
 ファンならば迷わずにおすすめできる一冊です。

夏目友人帳 13 (花とゆめCOMICS)

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