「居眠り磐音江戸双紙 橋の上」 佐伯泰英著 感想
「居眠り磐音江戸双紙 橋の上」 佐伯泰英著 感想
居眠り磐音江戸双紙シリーズの最新刊です。
田沼意次の専制政治の全盛期を時代背景にした、坂崎磐音改め佐々木磐音を主人公にした時代劇の最新刊です。作者の佐伯英泰は多作で執筆スピードが早く、かつまた人気シリーズも多く、ある意味で現代の時代小説の牽引役の一人というのは間違いがないところかと思いますが、その中でもこの磐音シリーズは人気抜群のシリーズです。
さて、その最新刊の本書は、シリーズの中でもちょっと特殊な位置づけの本で、今風に言うならば「橋の上/ZERO」すなわち本編の前の前日談となる短編を含んだ、「居眠り磐音」シリーズの舞台や人物、時代背景などを紹介したムック本のような構成になっております。これは、本編のほうで幕閣中枢で専横を欲しいままにする田沼意次ににらまれたために、結果的に義父母を殺され、道場を取り壊され、江戸を脱出し流浪の旅に出ることになった磐音たちがいよいよ次の巻で江戸に戻ってくることを記念しての記念発行本ということになっているためです。つまりは、普通のシリーズでは考えられませんが、これだけの人気シリーズならではの一冊です。
なので、小説としてだけ読むと、あまりに短いお話で、小説本としての満足度は低いです。ですが、ファンとして見るならば、作中で出てきた場所やエピソードなどが解説つきで語られ、インタビューなども乗っている本書は必携アイテムといってよい感じになっていると思います。
- 作者: 佐伯泰英
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2011/10/13
- メディア: 文庫
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