小説・漫画好きの感想ブログ

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「江戸前の旬」59巻  九十九森・さとう輝著  感想 

 銀座柳寿司を舞台にした、寿司漫画です。
 父であり親方である柳葉鱒之介が引退し、柳寿司を名実共に引き継いだ息子の旬。子供もできて、腕のうも周囲の誰もが認めるほどにあがってきた彼でしたが、とある人物に「あなたの握りは親方の模倣でしかありません」と強く言われて以降、自分の寿司とは何かということに迷いに迷い苦しむ毎日に陥ります。
 根がまじめで一途な彼だけに、日に日に焦燥感を募らせ、ほぼノイローゼといっていいまらいの苦悩の毎日を送りますが、ある日に、これまたふとしたきっかけから自分の寿司というものを確立するきっかけを得ます。それは、夜泣きする自分の赤ちゃんをあやすときにあと握った、その手の柔らかさでした。無意識にそれを思い出しながら握った彼の寿司は、今までのそれとはまったく別次元の味になってゆきます。。
 ということで、ものすごく浪花節で演歌な漫画です。
 タッチもものすごく浪花節で、女性の中には苦手な方もいるでしょうけれど、このコテコテの浪花節のストーリーと絵柄がよくあっているし、それがお寿司の世界にはほどよくマッチしていて、とても良いのです。本屋さんで見かけるよりはコンビニの棚で見かけることが多いこの漫画ですが、なかなかによいですよ。

江戸前の旬 59―銀座柳寿司三代目 (ニチブンコミックス)

江戸前の旬 59―銀座柳寿司三代目 (ニチブンコミックス)