小説・漫画好きの感想ブログ

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 「つらつらわらじ」3巻  オノナツメ著  感想 

「つらつらわらじ」3巻  オノナツメ著  感想
 
岡山の熊田藩の藩主・熊田治隆の参勤交代での江戸行きの道中を描いた漫画です。
 藩主の熊田治隆は、時の老中・松平公が押し進めていた質素倹約令に反対の立場を取っていました。そのことから、彼は幕府に目をつけられてなにくれとなく疎まれています。しかし、藩政や部下の掌握は巧みなもので、その性格や振る舞いは剛胆にして風流で、おまけに気風もよいと非の打ち所がありません。
 その彼の江戸への道行きに同行するのが、彼の領地にいる六家老のうち第二位の位置にいる熊田和泉という若家老です。家格でいえば、首座にいるべきところを、まだ年が若く経験もたりないということで第二位の位置に甘んじていますが、いずれは首座に、と野心や負けん気はかなり強くそれが空回りする毎日です。
 そんな二人と家臣団がすすむこの道中に、公儀隠密のお庭番の一人である九太朗という男が忍び込みます。彼に与えられた密命は、藩の内実を探り、場合によっては藩主の弱点や弱みを見つけ出すこと。しかし、彼はひょんなことから藩主・熊田治隆が手にいれた馬の口取りになってしまい、その為に諜報活動が出来ず身動きが取れなくなってしまいます。そんな中で、お役目とは別に、次第に藩主へと人間的な興味を抱き始める九太郎。
 この巻では、彼の正体が藩主にバレるのか否か、その時彼は・・・という所を山場に話は進んでゆきます。
 絵柄が、オノナツメ独特のディフォルメキャラのために、画風に慣れないと人物の見分けがつきにくい難点はあるものの、作品世界に深く潜りこむと、ちよっとよそでは味わえない雰囲気と、大人の男たちのお話ならではの味わいもあって心地よい漫画です。ゆったりとした時間を味わいたい方におすすめの漫画です。

つらつらわらじ(3) (モーニングKC)

つらつらわらじ(3) (モーニングKC)