小説・漫画好きの感想ブログ

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「灰色の嵐」 ロバート・B・パーカー著 感想 

 ハードボイルド小説、スペンサー・シリーズの文庫最新刊です。
 今回登場するのは、グレイマンと呼ばれる全身灰色ずくめのいでたちの腕利きの好敵手。彼は、かつてあった事件の中で、主人公であるスペンサーを一度は瀕死の重傷にまで追い込んだ実績があり、スペンサーが自分に匹敵する腕利きだと認める数少ない相手です。 
 そんな彼が、今回は彼の敵役として登場します。
 物語冒頭、スペンサーは、ハイディ・ブラッドショーという超セレブの婦人から、自分の娘の結婚式の間のボディガードとして雇われます。彼とその恋人のスーザンは、結婚式が行われるハイディが所有する島にある邸宅での結婚式に参加します。その結婚式にグレイマンが現れ、義理の息子となる筈の男や警備チームを数人撃ちした上で娘を誘拐してしまいます。
 プロ中のプロであるグレイマンらしくない誘拐劇はもちろんのこと、どうしてグレイマンがそこに現れたのか。彼とグレイマンがたまたま同じところにいる偶然というのはあり得ない。しかし、、、彼らしくない仕事に頭を悩ませながら、スペンサーは目の前で起きた事件を解決すべく動き始めます。
 ということで、今回はスペンサーシリーズにしては一風変わった展開を見せる作品で、グレイマンが事件に絡む本当の理由と、それを知ったときに取るスペンサーの対応は? というところに読みどころがあります。この結末を甘いと見るか、それともスペンサーらしいと見るか。僕は、彼らしいと思いましたし、推理ものとしてはプロットが甘いかも知れませんが、ややウェットなハードボイルド(ちよっと言葉が矛盾しますが)としては高く評価致します。
 

灰色の嵐 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

灰色の嵐 (ハヤカワ・ミステリ文庫)