小説・漫画好きの感想ブログ

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「一矢ノ秋 居眠り磐音江戸双紙37巻」 佐伯泰英著 

 紹介していない本が溜まり続けていますが、この本については検索で着ていただいている方が多いので少しだけ先に。
 「一矢ノ秋 居眠り磐音江戸双紙37巻」は、居眠り磐音シリーズの最新刊です。ここのところ、田沼意次とその刺客の系図屋の雹田平に追いこまれて、紀州藩のお膝元高野山のさらに奥地に逃げ込んで雌伏の時を過ごさざるをえなかった坂崎磐音たち一行。逃亡の旅の空で、愛妻のおこんが空也という息子を産み、家族が増えた磐音。彼は逼塞の中で江戸へ戻る時期を伺い続けていましが、いよいよこの巻で彼は反撃に移ります。
 、、、というあらすじなんで、本来はとても盛り上がる巻になる筈、、なんです。けれど、どうにも盛り上がりません。これは、今までの武芸者以上に強いとされていた雹田平との決着にはもっともっと何かこう盛り上がる対決シチュエーションが用意されているはずというこちらの過剰な思い入れが邪魔になっていたのかも知れませんが、なんだかあっけなさすぎて、これならここまで悩んだり隠れたりせずにどこかで一気に斬り捨てておけばよかったのではという気がしてなりません。ここまで盛り上げて数巻かけてこれ? という感じ。
 まぁ、この物語全体の結末をどうするか作者が悩んでいる間の時間稼ぎという側面があったのかも知れませんが、そういう意味ではいまいち。これを契機に物語が密度と速度を回復してくれることを期待します。


一矢ノ秋 ─ 居眠り磐音江戸双紙 37 (双葉文庫)

一矢ノ秋 ─ 居眠り磐音江戸双紙 37 (双葉文庫)