小説・漫画好きの感想ブログ

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「妖怪HUNTER 闇の客人」 諸星大二郎原作・井上淳哉著  感想 

 本年182冊目の紹介本です。
 本の紹介が追いつくかと思いましたが、なかなか追いつきませんね。
 この本は、「妖怪ハンター」いわゆる稗田礼二郎が活躍する諸星大二郎さんの作品のリメイクというか再構築漫画です(これってコミックバンチが「北斗の拳」や「サイバーブルー」など過去の原哲夫作品をリメイクしたのと同じ手法で、、と思ったら、これもバンチのコミックスでした^^)。
 昔の「妖怪ハンター」がモノクロでほとんどトーンも使わずでドロドロとしたタッチだったのに対して、井上版の妖怪ハンターは今風のタッチで、稗田礼二郎も、あの黒髪サラサラロングの黒スーツ姿はそのままながら、中身や性格はやや柔らかくなっています。そのあたりは痛し痒しで、絵が読みやすくなったぶん、ちょっとホラーテイストのあのおどろおどろしい雰囲気は薄れてしまっています。でも、妖怪ハンターが新しいファンを獲得していくにはこれはこれでよいバランスなのかも知れません。
 映画の妖怪ハンター(作品タイトルは「蛭子 妖怪ハンター ヒルコ」)が沢田研二主演ながら、もうギャグキャラクターになってしまったのに比べると、まだ二の線のうちには収まっているし、一応は原作をきちんと踏まえた作品にはなっていると思います。
 とはいえ、評価はあと何作かの妖怪ハンターシリーズをリメイクしてからかな、とも思います。かなりグロかったり、気持ち悪い話などもありますが、あえてあの辺りをリメイクしてもらいたいです。

妖怪HUNTER (BUNCH COMICS)

妖怪HUNTER (BUNCH COMICS)


ちなみにこちらが諸星大二郎バージョン
妖怪ハンター 地の巻 (集英社文庫)

妖怪ハンター 地の巻 (集英社文庫)

 
 追記 もちんのこと主人公の名前の稗田礼二郎の由来は、古事記の編纂に関わったとされる稗田阿礼から。稗田阿礼自体が女性であるとか男性であるとか架空の人物であるとか実在の人物であるとか色々と議論が別れる人でそれはそれで面白い。古代ロマンを感じたりもします。