小説・漫画好きの感想ブログ

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「また買いたいと思わせる「悦び」の方程式」 小坂裕司著 感想 

 ビジネス書です。
 エモーショナルな、買う気持ちを起こさせる商売テクニックということともまたちょっと違う意味での口コミであったり、人を動かす仕組みについての本です。大枠のところでは、既に知っていることであったり、既に実践していることでしたけれど、著者がこの本の中で再三再四語っている「サンマの話」にはちょっと衝撃を受けました。
 ひょっとしたら自分はこのサンマを売っていた魚屋の親父さんと同じ事をしていたのではないか、こういう所から変えていかないといけないのではないかと思った次第です。どんな話かというと、この店ではサンマ一匹を130円と150円にわけて売っていた。見た目のサイズはほぼ同じなので、売れるのは130円の方ばかり。店主は、うちは安いのしか売れないと嘆いていました。著者は20円の差は何かと訪ねる。産地か何かの差かと? そうすると、店主はこともなげサンマの背中を指差す。背中が大きいほうが脂が乗っていて美味しいんだ、と。
 著者も僕もそんなことは知らないから、サンマを背中から見るなんてことは普段しないし、その差が20円でしかないのなら(130円の20円というと比率的には15%高くなるけれど)、そりゃもちろん美味しい方を買うに決まっています。でも、魚屋さんは、そんなことは常識だと思っているからポップにも書かないし説明もせずに、安いものしか売れないと勘違いしている。
 形は違うかも知れないけれど、同じような失敗を僕もしているかも知れない。
 お客さんは高いから買わないのではなく、「買う理由がみつからない」ニアリーイコールで「買う理由を知らない」から買わないだけかも知れないのに、こっちが勝手に勘違いして売れていないのかも知れません。そういうビジスの基本的なところを再度教えられたような一冊でした。
 今、東京電力のおかげで原発のことやら関西電力のこととかエコキュート、オール電化、太陽光のことなどバンバン色々な人に聞かれますが、僕らからすれば当たり前のことでもお客さんというか一般の人にとっては知らないことがあるし、それをうまく説明できていない、或は説明を怠っているのはこちらのほうかも知れないと気づいた一冊でした。

「また買いたい」と思わせる「悦び」の方程式 (PHP文庫)

「また買いたい」と思わせる「悦び」の方程式 (PHP文庫)