小説・漫画好きの感想ブログ

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村上春樹スピーチ「非現実な夢想家として」 

村上春樹さんのカタルーニャ国際賞でのスピーチの概要が知れる記事があったので転載します。春樹さんは今回の賞金の930万円を寄付されたようです。

「非現実的な夢想家として」と題したスピーチで、村上さんは震災後の日本がやがて「復興に向けて立ち上がっていく」とした。ただ、福島原発事故については、広島、長崎に原爆を投下された日本にとって「2度目の大きな核の被害」とし、今回は「自らの手で過ちを犯した」との厳しい見方を示した。
 村上さんは、過ちの原因は「効率」優先の考えだとした上で、政府と電力会社が「効率の良い発電システム」である原発を国策として推進した結果、地震国の日本が世界第3の原発大国になったと指摘。原発に疑問を持つ人々は「非現実的な夢想家」として退けられたと批判した。
 その上で「われわれは持てる英知を結集し原発に代わるエネルギー開発を国家レベルで追求すべきだった」とし、それが広島、長崎の犠牲者に対する「集合的責任の取り方となったはずだ」と述べた。
 村上さんはまた、復興に際し建物や道路と違って簡単に修復できないのは「倫理や規範」だと指摘。「倫理や規範の再生はわれわれ全員の仕事だ」とした。「夢を見ることを恐れてはいけない。『効率』や『便宜』という名前を持つ災厄の犬たちに追いつかせてはならない。われわれは力強い足取りで前に進んでいく『非現実的な夢想家』でなくてはならない」と締めくくった。

 カタルーニャ国際賞は1989年の創設。今年で23回目だが、日本人の受賞は初めて。村上さんは、賞金の8万ユーロ(約930万円)は震災と原発事故の被災者に寄付すると語った。(バルセロナ共同)