小説・漫画好きの感想ブログ

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「マイケル・サンデル 大震災特別講義 私たちはどう生きるのか」 マイケル・サンデル著 感想 

 本年135冊目の紹介本です。
 去年、大ブレイクした「白熱教室」の主役、ハーバード大学で講座をもつマイケル・サンデルの最新著作です。といっても、講義(というよりはディスカッション)のテープ起こし原稿なので、著作というとちょっとニュアンスが違いますし、とにかく薄い、1回分の講義を文章にしたレジメのようなものです。
 タイトル通り、3.11のあの東日本大震災のちょうど一ヶ月後くらいに、東日本大震災福島第一原発の放射能漏れ問題などを中心に、ボストンと東京と上海の三元同時中継でディスカッションをしたものです。各地区の大学生が8人ほどと、日本の著名人ではジャパネット高田の高田明高畑淳子石田衣良、高橋ジョージが参加しています(人選がちょっと謎ですが、まぁこのあたりの選択にはあまり意味がないです。ひょっとしたらNHKの絡みかな)。
 中身のほうは、多岐に渡るのと、学生たちに色々意見を聞いていくものの、時間が短いこともあってずいぶんと内容も薄いです。放射能除去作業などの危険な作業については志願制にすべきか報酬を出すべきかどうか、日本のメンタリティーはどうなっているのか、アメリカのカトリーナのときと何がどう違って略奪が起きなかったのか、世界は一つのものとしてこの痛みから何かを学べるのか、それともグローバルには意味をもたないのか、などなど多岐にわたりすぎて一つ一つの事柄についてはお世辞にも掘り下げられているとはいえない出来です。
 しかし、こうした試みが行われ、今回の災害が少しでも未来の、あるいは現在の世界に少しでも某かの教訓を与え、後世になって「あれが契機で世界はよい方向に変わった」と言われるのであればこの不幸にも少しは意味があったのだと思える話です。
 また、この本の売り上げの一部と、サンデル教授の印税はすべて東日本大震災の義援金になるようで、そういうことであれば協力するかと思えます。この薄さで500円ちょっとですから、本の価値だけで考えたら高いんだけれど、そういうので東北の人たちや福島の人たちへ少しでも援助できるなら、ね。ということでご紹介しました。

 

マイケル・サンデル 大震災特別講義 私たちはどう生きるのか

マイケル・サンデル 大震災特別講義 私たちはどう生きるのか