「魔界都市 地底都市」 菊地秀行著 感想

　本年134冊目の紹介本です。

　菊地秀行のあまたあるシリーズの中で、彼のデビュー作「魔界都市<新宿>」の第五弾、「地底都市<新宿>」です。デビュー作で地球を守ったヒーロー十六夜京也が主人公ということで、他の菊池作品のようなアダルティな感じは少なくて、どこかしらジュブィナルの雰囲気が強く出るこのシリーズ。今作は原点回帰の一冊ということで、ひさびさに面白く読ませていただきました。
　どぎついて話やエロスとバイオレンスもいいけれど、さわやか主人公・十六夜京也と天然ヒロイン羅摩さやかのコンビの二人の冒険活劇も今回は上手い具合にまわっています。　
　ドクター・メフィストをはじめ、このシリーズでは、他の作品に登場のヒーローたちもちょっと造形や設定が違っているのですが、それもこのシリーズのお楽しみ。今作も黒い衣装をきたドクターメフィスト、タンメンを食すドクターメフィストなどが見れます。
　あらすじは、魔界都市新宿の地下で見つかった古代都市から現れた地下都市の住人達と十六夜京也たちの戦い、という一文で事足りますが、ネタバレになるので書けないある人物がラストで登場したり、牙一族との戦いからつながるエピソードが出てきたり、このシリーズの過去作品からのあれこれが出てきたりしてよく出来た一冊でした。
　

地底都市〈新宿〉　魔界都市〈新宿〉 (朝日ノベルズ)