小説・漫画好きの感想ブログ

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「とめはねっ! 鈴里高校書道部」 8巻 河合克敏著 感想 

 「とめはねっ!」最新刊です。
 なんか妙に間があいたような印象がありますが、新刊が出ておりました。
 お話的には、鵠沼高校と鈴里高校のオープンキャンパスでの戦いの続きと、新学年になって新入生が増えるという学園物のお決まりの新展開です。この後者の新展開は、うまく決まれば作品全体の幅が増えたり魅力的なキャラクターの加入で話がぐんと面白くなるのですが、失敗するとまとまりがなくなって空中分解をしてしまう危険なトラップでもあるのですが、「とめはねっ」の場合はまだまだ保留ですね。
 物語論的には、同性の先輩に憧れて部活に入ってくる新入生、逆に反撥するけれど腕のたつ新入生と、一応王道メンバー二人というコンパクトな中にも必要キャラクターがきっちり入っているので大正解なんですが、、主人公の大江縁からすれば、書道部部員は彼以外全員が女性というけっこう厳しい環境が生まれただけのような気がしないでもありません。
 普通の漫画なら、主人公以外、部員が全員女性というのはハーレムメイカーの構造というラブコメのお約束設定になるわけですが、この作品の大江くんの場合、彼をちょっといいなと思ってくれるのは違う学校の女の子で、しかも大江くんはそれにすら気づいていないというボケボケキャラで、意中の女の子にはまったく男性としても意識されていないという有様ですから、これは少々きついのではないかなと彼に同情を禁じ得ません。男性扱いされていない女性集団の中に一人というのは正直しんどいでしょうからねぇ。。。
 いや、ま、そういう視点で読む漫画ではなくて、文化部系漫画なので、彼らが徐々に成長していっていたり、上達していることにこの巻のようにふと気づく巻というのは、それこそが文化部系漫画の面白さなのでそのあたりに満足感は出ているのですが、同じ同性として不憫な、、と思ってしまうのも事実です。
 頑張れ、大江くん。
 ガチャピン似のぼんやりさんだけれど、きっといつかいい事がある筈。頑張って!


とめはねっ! 鈴里高校書道部 8 (ヤングサンデーコミックス)

とめはねっ! 鈴里高校書道部 8 (ヤングサンデーコミックス)

ハーレムメイカ的作品と考えれば、これだけ女性陣がでてきているのに、ボーイッシュ系のぼくっ娘やら、可憐なタイプのお嬢様キャラ、妹系の萌え系キャラ、ツンデレ系がいないというのは、河合先生がそのあたりをあえて無視していると取るべきなのでしょうね。
 AKB48みたいにリアルにそのあたりを計算してチームを作っているわけではないので当然の話かも知れませんが、普通の女性がたくさんいる漫画だと、そのあたりをキッチリ計算して全タイプそろえてくるのが普通なので、かえって新鮮です。