小説・漫画好きの感想ブログ

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マスコミの韓国・日本の自殺報道に思う  

 インテル長友佑都が、イタリアカップ優勝に貢献したときいて嬉しくなってサッカー関連のニュースをあれこれネットサーフィンしていたら、日本のJリーグに相当する韓国Kリーグの選手が、最近話題になっていたKリーグ全体を巻き込む八百長問題を苦にして自殺したというニュースにぶつかった。日本の大相撲の八百長問題同様にあちらでは大問題になっているときいたが、また自殺者が出たということに驚くとともに報道のあり方が気になった。
 というのも、世界的にみると、自殺報道をこんなに普通にやる国は珍しいし、そこから派生するさまざまな悪影響について、過去の教訓から一切学ぼうとしない姿勢に違和感を覚えるからだ。
 実は、日本も同様で、先日も上原美優さんの自殺が普通に報じられていたが、これも世界基準からすればかなり非常識な部類に入る(日本では岡田有希子さんや沖雅也さんをはじめ田中実さんなど芸能人の自殺は普通に報道されるが、かなりこれには疑問符がつく)。
 
 世界的にみれば、自殺についての報道が行われれば行われるほど、そしてその取り上げ方が大きいほど、若年層であれば若年層であるほど、自殺者が確実に増えることが証明されている(社会学者のフィリップによりウェルテル効果と名付けられたそれは証明されている)。だから、諸外国では自殺報道についてはかなり厳密なルールのもとでの報道がなされたり、或いはできるだけ小さな扱いにするが、日本と韓国ではどうもそれに逆行して自殺はセンセーショナルなものとして、大きく取り上げられ続けており、まったく改善がなされずに自殺者数を減らすことが出来ていない。
 具体的にいえば、世界基準として2000年にWHOが出した勧告基準として、やるべきこと、やらないでおくべきことを以下のように示しており、実際の成果が他の国ではあがっている。

1)やるべきこと
・自殺に代わる手段(alternative)を強調する。
・ヘルプラインや地域の支援機関を紹介する。
・自殺が未遂に終わった場合の身体的ダメージ(脳障害、麻痺等)について記述する。

2)避けるべきこと
・写真や遺書を公表しない。
・使用された自殺手段の詳細を報道しない。
・自殺の理由を単純化して報道しない。
・自殺の美化やセンセーショナルな報道を避ける。
・宗教的、文化的固定観念を用いて報道しない。


 しかし、日本での報道や韓国での報道を思い出してみれば分かるが、韓流スターのパク・ヨンハにせよチョ・ジョンヤンにせよ、X JAPANnのhideにせよ郷里大輔にせよ、かなりセンセーショナルに報道されたし、いじめ自殺もいっときニュースで見ない日は無い有様でした。また、日本に限れば、練炭自殺や、ハルシオンの大量服薬、硫化水素自殺など新しい自殺方法が説明されたり、完全自殺マニュアルなんていう本まで出ていた。
 こういうマスコミ報道のあり方というか無神経さが、日本の死因の中でかなりの数を自殺者がしめる、国際的にみれば自殺者(特に中年男性)が圧倒的に多い土壌になっている部分もあるのではないだろうか。 
 ・・・とたまには真面目なことも語ってみたりするが、本当に自殺報道についてはもう少し考えて欲しい。
 (あと、もう一つこの話をした理由は、実は日本国内の自殺率の統計でいくと、県別に見た場合、東北地方の秋田県、青森県、岩手県、山形県、福島県や日本海側の新潟県、富山県、島根県、山口県などが自殺率が高い。そしてこの傾向はさらに高まっている。つまり、僕が何を言いたいのかといえば、今後の東日本大震災や放射能に関する風評被害・損害賠償の報道で、ある程度予測される東北地方の自殺者が出た場合に、マスコミが原発などと絡めてセンセーショナルにそれを取り上げれば加速的に被害者が増えないかと危惧するからである)



ちなみに、韓国のニュースは以下のニュース。なんだかトカゲの尻尾切りのようで、これはこれで後味が悪いニュースです。

  聯合ニュースによると、サッカーの元韓国Kリーガーの鄭鐘寛選手が30日、ソウル市内のホテルの部屋で首をつって死んでいるのが見つかった。警察は自殺とみている。
 鄭選手は、Kリーグ八百長事件の捜査対象者として名前が挙がっていた。遺体の横には「八百長に加わり恥ずかしい。検察の調べを受けている選手は私の友達で、私の名前を出さないのは義理からだ。全て私の責任で、私がやらせた」と書かれた遺書が残されていたという。