小説・漫画好きの感想ブログ

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結局政府発表が本当だったというオチ と 組織論 

 福島第一原子力発電所のメルトダウン問題の55分間の空白問題について、、いろいろな情報や発言が錯綜していていったいどこにあるのかが揉めに揉めていましたが、、結局は政府報告が一番正しかったという一般的には想定外なオチになりましたね。
 
 一番問題なのは原子力安全委員会の班目委員長が「再臨界の可能性がある」といったのが本当は「危険性がゼロではない」だったという発言に変わったことだろうし、そのときに政府内部でどんなやり取りがあったのかという話を聞くと、、菅総理を攻撃したい人が言っている話だから菅総理に不利になるように話を進めていたが、、、それでも菅総理は一度も「海水の注水を停止せよ、もしくは再開せよ」とも言っていないんですよね。だから、国会での答弁でもそのままに回答している。
 菅総理は、不勉強な部分が多く、海水を入れることで再臨界の可能性が高まるのではと当時思い込んでいたので、厳しく班目さんに問いつめたところ「可能性がゼロではない」という回答を得たので安全かどうか徹底的に詰めろと言っただけなんですよね。そして、この時点では、水が一時的に切れていることや、中断するしないという話になっているという認識をしていないのですね。
 なので、ことの発端は責任問題になるとみて言を左右した班目さんが一番問題なんですが、、その後の東電のとにかく責任は自分たちには問題がないよという姿勢が問題だし、、結局は現場の吉田所長の判断で注水は続けられていたということになると、(世間ではそれは良かったこととされていますが)吉田昌郎氏の偽装報告、情報の正確な報告をあげていない体制が問題になってきます。
 
 いまマスコミやコメンテーターは、こういう事態になっているいまも、判断ミス、情報統制が全く取れていないことで政府批判をされている人がいますが、、東電内部で、現場から本社へと、本社から統合本部、本部内で首相への報告が全く現実と違って、それぞれのレベルで作為的な情報の取捨選択がなされているとしたら、誤った情報から正しい答が出てくるはずもなく、、これは一番トップが責められる問題ではないような気がします。
 もちろん、自民党などからは、それが組織としての責任のあり方であるとか、ちゃんとした情報があがってくる人格がないからあがってこないのであって、リーダーへの忠誠がたもたれないのが問題だと言っていますが、、これは法治国家の原則からするとはなはだ不見識というか誤りです。
 個人的な仲間内の話だったり、クラブとかならそういうのも通りますが、給料をもらう仕事であり、国家公務員であったり、こういう緊急事態の処理の場合には、上司が気にいるから頑張る、気にいらないから頑張らない、嘘をついてもいい、なんてことが正当化されてしまうとまっとうな事は何一つできなくなります。もちろん、リーダーの資質として人々が無条件に役にたちたいと思ってくれればそれに越したことはありません。でも、それとても行き過ぎると、それぞれが良かれと思ってやりすぎたりルールをねじ曲げたりするわけで、法治国家であれば、一番の理想というか当たり前の状態は、「正しい事実をそのまま伝える」役職によっては「リスクと結果を根拠を提示した上で進言すること」です。
 そういう部下があって、はじめて上司が成り立ちます。
 上司と部下の個人的な関係性というものは、二義的でなければならないのですが、ついつい一義的になる日本の政治風土がこの場合、大きく影響しています。東京電力が保身の為に情報の操作や隠蔽をすることは十二分に予測されるし、人の情としては予測可能なことであり、そこを厳しく管理する者がいないというのは問題ですが、性善説にたっての対応がもはやできなくなっているのは間違いがないと思います。
 そして、そういう風潮や雰囲気の中では、このあとも、本当ではない事実、そしてこうあったら自分に有利だという仮定が、リークという形でさも真実のようにマスコミやネット、アンダーグラウンドで流れていくことでしょうし、そうなればもはや何が真実で何が問題だったかの本当の原因を究明することは難しくなっていくでしょう。
 
 一般論に戻りますが、会議というのは「何について話すのか、結論としてどうするのか」というのを決めるもの、或は継続的扱いにすると決めるのであれば、その継続することでどういうデメリット・メリットがあって、こう決めたというのがハッキリしていなければなりません。
 それが全くなされていないのは、政府側の能力不足をも示しているという点では僕も憤慨しますし、民主党も自民党も、東電も、原子力安全委員会等の面々も、全員が全員、緊急事態の管理者として最適な人材ではないということにはガッカリもしております。
 能力が足りないなら、せめて全員、他人の足をひっぱりあうのではなくて、協力してなんとか事態を収拾しよう、被災地の人々への被害を最小限にとどめようという風に意識を向けて欲しいです。
  
 太陽光発電パネル設置1000万戸を目指します。全家庭に太陽光を。G8の菅総理の宣言ですが、この人が語るこの一言が現在の国会議員の中で一番前向きというか夢のある提言だというのは、さすがに問題だと思います。他の議員、公明党でも共産党でも自民党でも民主党でも誰でもいいから、もっと夢のある将来の国家ビジョン、東北新生のためのビジョンを語ってくれないものでしょうかね。

 追記:そもそも論になりますが、今回のこのことでも政府の情報共有やチェック体制、情報確認の能力が欠けていますが、、実際の注水のことや班目発言にせよ、政府官邸の発言にせよ、マスコミもそうですし、野党の国会議員も、誰一人それぞれの当事者に情報確認せずに、噂や誰かの発言を引用する形だけで事実確認せずに議論をしていたということがあまりに滑稽ではありますし、この国の情報リテラシーのレベルの決定的な低さは致命的です。