「フランキー・マシーンの冬」下巻 ドン・ウィンズロウ著 感想
本年108冊目の紹介本です。
先日ご紹介した、「フランキー・マシーンの冬」の下巻です。
命を狙われたフランキーの復讐と真相解明の旅が、下巻の主なあらすじですが、この真相解明の旅は大半が過去編になり、その過去の何が現在のフランキーを追いかけてきたのかが明らかになります。
マフィア稼業の中で、それとは気づかないうちに買っていた怒りや恨み、憎しみ、恐怖のどれが彼を殺そうとしているのか。
ノワール小説の定石として、めまぐるしく敵味方が入れ替わり、味方の価値も志もどんどんなくなり、裏切りに続く裏切りが続く中で、本当の敵を捜し孤軍奮闘するフランキー。血と硝煙の匂いの中で、死体だけが記憶とともにどんどんと増えていきます。
思いがけない展開と、ラストには驚かされますが、これだけの流血とバトルシーンが続いていっても、フランキーのキャラクターが陽気なせいか、それほど血なまぐさい印象もなく、どこか明るく冗談めかしていく語りに載せられてあっという間のエンディングでした。
ただ、リーダビリティーの良さは抜群ですが、ノワールの深み、プロットの巧妙さという点ではまずまずというところどまり。評価としては中の上、ぐらいです。
- 作者: ドン・ウィンズロウ,東江 一紀
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/09/25
- メディア: 文庫
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