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「豆腐小僧その他」 京極夏彦著 感想 

 本年104冊目の紹介本です。

 文芸春秋の「プリンセス・トヨトミ」、中公文庫の「八日目の蝉」、幻冬舎文庫の「阪急電車」に対抗する、本年の角川映画「豆腐小僧」の原作がこの本です。
 「豆腐小僧」が映画化されるとは聞いていたんですが、あの原作(「豆腐小僧双六道中 ふりだし」)だとちょっと苦しいんじゃないかなぁ、、子供に分かりにくいだろうなぁ、、と思っていましたが、実はこれが原作違い。「双六道中 ふりだし」では舞台が江戸末期で明治維新前夜のあたりだったのですが、こちらは舞台を現代に移して非常に分かりやすい作品に切り替わっています。
 狂言まわしにもしっかりと子供が登場しますし、子供が楽しめる作品に仕上がっています。けれど、けれどけれど、京極作品好きとしては非常に違和感があるというかなんというか、京極さんらしくない作品のような気がしてなんだか微妙な感じです。蘊蓄を語り、衒学趣味をひけらかし、読み手を煙に巻いて虚々実々の駆け引きの中に、真実の姿が浮き上がってくるものの、事件の解決が必ずしもきれいごとで終わらないというのが京極作品の魅力であるような気がするのですが、そのあたりが子供向け作品となったときになくなってしまったような気が致します。
 同時併録されている「狂言 新・死神」や「落語 死神 Remix」などはいかにも京極作品らしい作品なだけにそう思います。
 
 ちなみに、映画「豆腐小僧」のキャストは、深田恭子、武田鉄矢、小池徹平大泉洋宮迫博之平野綾、はるな愛、壇れい、松平健、らしいです。結構豪華なメンバーですね。まぁ、なんていうかちゃんとした専門の声優さんは平野綾さんしかいないというところが若干気にはなりますが、、、。 
 予告映像はこちら
 

 

豆腐小僧その他 (角川文庫)

豆腐小僧その他 (角川文庫)