小説・漫画好きの感想ブログ

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NHK大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」第16話 関白秀吉 感想

 上野樹里主演の大河ドラマ一「江」今見終わりました。
 だんだんと見る日にちがずれてきています。世間的にも注目度がドンドンと下がっているようですが、、今回は結構楽しんで見させて貰いましたし、このドラマならではの新しい切り口が出てきましたね。  
 これまでのこのドラマの中での秀吉は、思惑や計略は他人任せで、それも綿密に作り上げたものではない、とにかくいきあたりばったりな人物に見えていました。他のドラマ作品や小説で出てくる秀吉は、どちらかというと疑り深く、冷酷で、その反面ものすごく人好きのする人物で描かれていることが多いですが、その時でも信長配下時代には長期戦略を組んでいるように見えますがそれ以降はあまりその能力が前面に出て描かれることはありませんでした。つまり、このドラマにせよ、他のドラマ、小説でも秀吉は信長死後については余り戦略的に何かをしている風には描かれていませんでした。
 しかし、このドラマでは、秀吉が武家の頂点に立とうとして、関白になるまでが描かれていました。まずは、将軍になろうとして足利家に頼み込んで蹴られ(将軍はもともと源氏の者でなければならなかった。源氏=天皇家から生まれた家系、なので確かに無理)、それならばと帝の次の位である関白になろうとするが、それも関白は五摂家(一条、二条、九条、鷹司、近衛)からという暗黙の決まりがあり無理であるとなります。しかし、そうとわかったあとの秀吉の、五摂家への賄賂、生活支援、将来の天皇家との縁組み示唆などの恩恵をこれでもかこれでもかと描かれていくのを見ると、なるほど秀吉にはこれがすべてではないでしょうけれど、こういう側面もあって関白になれたのかと今まで疑問だったことがすごく腑に落ちた感じでした。
 中学や高校の歴史の教科書でも、秀吉はいきなり唐突に関白になります。力を強めていたのはわかるんですが、何故にいきなり関白になったのか、関白になるのがどれほどの権力源になるのか、はあまり説明されません。だから、なんとなく秀吉は関白になってしまうし、こちらは教科書(特に山川の教科書)や資料集などでもふんだんに写真が掲載されている金ぴかの茶室や金色の天守閣などの成金的な金遣いだけが印象に残るようになってしまいます。でも、今日のドラマを見て、なるほどこういうお金の使い方をしていたし、そういう使い方をしていたから悪びれることなく、お金を使っていたのかと腑に落ちたわけです。
 これは、僕的には、なかなか新しい発見でした。
 この理解だけでこの今年のドラマはあり、でした。普通の見方からすれば、今回のドラマ的な見所は、この秀吉のことより、秀吉が関白を目指す理由の大きな一つに「茶々」への愛情があったことや、それが故に関白就任への内々の宣下があったとき、京都から大阪までそのことを知らせに走る秀吉の姿にあるのでしょうが、僕的には今まで見なかった/あまり意識しなかった秀吉像を見れたことが興味深かったです。
   
さーて、今度は大沢たかおの「JIN -仁-」を見るとしましょうかね^^。