小説・漫画好きの感想ブログ

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「ヴィンランド・サガ」10巻 幸村誠著 感想

 本年96冊目の紹介本です。

 北欧のとあるバイキングの少年、トルフィンの成長譚の最新刊です。
 波瀾万丈の冒険と、イングランド王との冒険のすえに、恐ろしい戦闘力を知られぬまま名も無い奴隷として売られていったトルフィン。彼は売られて行った先の農場で、エイナルという奴隷と二人して未開墾の土地を耕すことになります。幼い頃に父親を殺され、その後はバイキングの一味として働かされて人をたくさん殺してきたトルフィンにとって、畑を耕し麦を植える、ひとつところに定住するというのは初めてのことです。身分としては奴隷で、いやな平民に意地の悪いことをされる日々ですが、それは彼にとっては全く違う自分になることを意味していました。
 「人間ってかわれるものかな?」
そう問いかけるトルフィンにとっては、怒りも、戦いもない生活というのは自分の中身がなくなって空っぽになったようなものでした。しかし、そうした中で、一つの事件が起こり、彼は自分自身の過去と本当に向き合います。果たして、それはどういったものか、、。ネタバレはここまで。
 ヴィンランド・サガ、ここまでの10巻も素晴らしいですが、ここまでがまだまだ長い前フリだというのですから、今後がますます楽しみです。今までのような戦闘に明け暮れる主人公達の物語というのも悪くないですが、トルフィンの変化と時代の流れとサガとして語られる人生が、より楽しみです。


 

ヴィンランド・サガ(10) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(10) (アフタヌーンKC)