小説・漫画好きの感想ブログ

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「ネクログ」1巻 熊倉隆敏著 感想 

 本年81冊目の紹介本です。
 少し前に読んだのですけれど、そのまま紹介を忘れていた本です。
 
 内容は、中国を舞台にしたあやかし漫画で、著者の前作「もっけ」よりも妖怪・土着神・あやかしの力が強く現世でも力を行使している世界、という設定のようです。三文文士の主人公は、キョンシーとなって甦っている憧れの姉さんに本当の魂をいれるべく、彼女の死体を使役して使っている道士にくっついています。その道士は、力あるものを探すようにと彼にいいつけるのですが、そのおかげで彼はいつもトラブルに巻き込まれています。
 キョンシーを自由に作り出せるこの世界では、丹を練って人間を操る妖怪も出てくるかと思えば、人間の価値観を理解しない道士が出てきたり、或は仙人の杖が変化した妖怪も出てきます。まぁ、いかにもな中国怪奇物の伝統を踏んだ世界ですが、これが最近では逆に珍しくていい味を出しています。
 前作「もっけ」は一部マニアには絶大な人気を誇りましたが、トーンがわりあいと暗かったのと、あくまで見える人と見えない人との間には完全な壁というか相互不可侵な世界があったが為に、ある意味、世界が閉じていて一般受けとまではいきませんでした。しかし、この作品はひょっとしたらひょっとするかも知れません。 
 巻末の話で、冥界が出てきたりしていましたので、個人的な好みでいえばその線をもっと押して、もっともっと混沌とした話になってくれればいいなと思います。

ネクログ(1) (アフタヌーンKC)

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