小説・漫画好きの感想ブログ

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菅首相と東電の対応のいずれが問題か明らかになった

最初に書いておきますが、別に自分は民主党支持者でもなければ、菅さんの政治的手腕には疑問符をつけています。しかし、この事件の最初から見ていて、初動での菅さんの対応は早かったし、東電の無責任さに対していらだち単身乗り込んだりした行動はかなり評価されてしかるべきだと思ってきましたし、それはここで述べてきた通りです。 なので、最近の非難論調の中で、彼が原発視察をして初動を遅らせたことで被害が拡大しているというのはかなり言いがかりに近いものを感じていたのですが、以下に実際のそのときの真相が出てきたのを読むとさらにその思いは強まります。
 これを読む限りでは(これが毎日新聞の捏造でなければ、、、産経や読売は完全にアンチ菅・アンチ民主党で、政権成立時からこんな政党を許してはいけないとしていたし原発事故もひたすら煽り記事が多いのでこういう記事は永久に出ないでしょうが、、)
 

 東日本大震災から一夜明けた3月12日午前6時すぎ。菅直人首相は陸自ヘリで官邸屋上を飛び立ち、被災地と東京電力福島第1原発の視察に向かった。秘書官らは「指揮官が官邸を不在にすると、後で批判される」と引き留めたが、決断は揺るがなかった。
 「総理、原発は大丈夫なんです。構造上爆発しません」。機内の隣で班目(まだらめ)春樹・内閣府原子力安全委員会委員長が伝えた。原発の安全性をチェックする機関の最高責任者だ。
 第1原発は地震で自動停止したものの、原子炉内の圧力が異常に上昇した。東電は格納容器の弁を開放して水蒸気を逃がし、圧力を下げる作業(ベント)を前夜から迫られていた。班目委員長は「視察の前に、作業は当然行われていたと思っていた」と振り返る。だが、着手は遅れた。
 首相は官邸に戻った後、周囲に「原発は爆発しないよ」と語った。
 1号機でようやくベントが始まったのは午前10時17分。しかし間に合わず、午後3時半すぎに原子炉建屋が水素爆発で吹き飛ぶ。「原発崩壊」の始まりだった。致命傷ともいえる対応の遅れは、なぜ起きたのか。

 ◆        ◆

 11日、東電の勝俣恒久会長は滞在先の北京で震災の一報を知る。心配する同行者に「情報がない」と漏らし顔をゆがめた。衛星携帯で本店と連絡を取り続けたが、帰国できたのは翌12日。清水正孝社長も出張先の関西から帰京できない。東電はトップ不在のまま対策本部を置く。
 一方、官邸の緊急災害対策本部。当初、直接東電とやりとりするのではなく経済産業省原子力安全・保安院を窓口にした。「原子炉は現状では大丈夫です」。保安院は東電の見立てを報告した。
 しかし、事態の悪化に官邸は東電への不信を募らせる。菅首相は11日夕、公邸にいる伸子夫人に電話で「東工大の名簿をすぐに探してくれ」と頼んだ。信頼できる母校の学者に助言を求めるためだった。
 11日午後8時30分、2号機の隔離時冷却系の機能が失われたことが判明する。電源車を送り込み、復旧しなければならない。「電源車は何台あるのか」「自衛隊で運べないのか」。首相執務室にホワイトボードが持ち込まれ、自ら指揮を執った。
 官邸は東電役員を呼びつけた。原子炉の圧力が上がってきたことを説明され、ベントを要請した。しかし東電は動かない。マニュアルにはあるが、日本の原発で前例はない。放射性物質が一定程度、外部へまき散らされる可能性がある。
 「一企業には重すぎる決断だ」。東電側からそんな声が官邸にも聞こえてきた。復旧し、冷却機能が安定すればベントの必要もなくなる。
 翌12日午前1時30分、官邸は海江田万里経産相名で正式にベントの指示を出した。だが、保安院は実際に行うかどうかについて「一義的には東電が決めること」という姿勢を変えない。国が電力各社に文書で提出させている重大事故対策は「事業者の自主的な措置」と位置づけられている。
 「東電はなぜ指示を聞かないのか」。官邸は困惑するばかりだった。首相は「東電の現地と直接、話をさせろ」といら立った。「ここにいても何も分からないじゃないか。行って原発の話ができるのは、おれ以外に誰がいるんだ」。午前2時、視察はこうして決まった。
 事故を防ぐための備えは考えられていた。しかし、それでも起きた時にどう対応できるか。班目委員長は取材に「自分の不明を恥じる」と言ったうえで、こう述べた。「その備えが足りなかった」

 これで首相のパフォーマンスの為に原発が深刻な事態に陥ったといわれれば首相としてはやってられないでしょうね。ある意味、これがすべて事実だとしてですが、それなら菅さんのおかげで福島第一原発の事故はここまでで済んでいるともいえるような状況ですから。
 ただ、そうはいっても、それがそう取られない、「東日本は・・」みたいなマイナスの取られ方をしてしまうことや、こういう指示がすぐに聞き届けられないところからしても、政治家・総理としては既に存在がマイナスになってしまっているのは否定しませんが、すべてを悪い風に取る風潮はどうかと思います。