小説・漫画好きの感想ブログ

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オール電化住宅が原発2基分の電力不足の原因と・・・新しいデマの発生

おはようございます。
 水道水から放射性ヨウ素が出たということで、今首都圏の人々の不安が増大しているところに、新たな対立の火種を撒くような記事や論調が出てきている。節電しても計画停電になるといったところで、犯人探しというか、非難対象を一つ特定することで不満を解消しようという意志のもとであろうけれど、、、なんというか情けない。
 さて。
 以下の記事をそのまま鵜呑みにすると、「オール電化住宅が普及したが故に電力需要が逼迫している」「オール電化住宅、エコキュート、IHの普及は失敗だった」と読める。

 しかし、これは一部の真実を含みつつも、全体としては新しい形のデマでしかない。
 というのも、エコキュートを既に利用している人や説明を受けている人は理解していると思うが、エコキュートというのはそもそもが電力需要が少ない夜中に垂れ流してしまっている電気(大量の電気は蓄電できない)を有効利用するというシステムを取っており、お湯を沸かす為に、昼間や夕方に電気を使っているわけではない。お湯をわかすために電気を使うのは、ほとんどの家庭では深夜11時から朝7時までの間でしかない。資源の乏しい日本では、石油やガスをふくめあらゆるエネルギー資源を諸外国から輸入しなければならぬ、その為には出来るだけエネルギーを有効利用しなくてはならず、エコキュートはその切り札的なアイテムだったことを理解しなくてはならない。 
 もちろん、昼食や夕食にガスコンロではなくIHクッキングヒーターを使うというのは、ガスコンロの時代から比べれば電気の使用量は増える。純粋にガスから電気の転換なので、この部分では増える。この部分では電力消費量を確かに増やしている。
 けれど電気の使用量でいえば、電力エリア内でも使用量が少なくむしろ電気が余ってしまう夜間電力を有効利用しているという部分のほうが圧倒的に多い。

 つまり、トータルでいえば、この記事が連想させようとしているような「原発2基分をオール電化の電力使用している」=「オール電化住宅が節電に対して負担になる」というのは明らかに間違いであるというわけである。
 誰しも不安なときにはわかりやすい敵を探し出したいものであろうけれど、正しい情報を伝えなければ、今回の野菜の風評被害であったりと同様にいたずらに混乱と被害、受けなくてもいい被害を受ける層を作り出してしまうので本当に注意が必要である。
 震災の中で、断水があっても、エコキュートが当座の生活用水に一時的に使えること、ガスが止まっているエリアでもオール電化住宅だから調理やお風呂に入れたりそれを近隣に提供したりというようなニュースも多いし、火事の発生数が少なかったのは電化しているところが多かったのも事実である。また近くで火事が発生した場合にプロパンガスのタンクが家にくっついていると電化しているのとどちらが安全かはいうまでもない。そういう部分も、記事にするなら功罪両面を載せなければ片手落ちというものだろう。今は東京電力のおかげで関西電力も中部電力東北電力もあれこれ言われることも多いが、的ハズレな非難はばかばかしい話である。 
 阪神大震災を経験・被災している身からすれば、あのときの震災で火事が多かったのはなぜか、ガスコンロからの出火が多かったからである。当たり前の話である。復旧で一番滞ったのはガスだった。これも当たり前である。だから、ガス会社も今では火が消えるようなシステムを組んだし、誰しもがガスの復旧が遅くてもそれは安全のためには仕方がないという風に理解しているからあえて指摘しなかったし、誰も非難なんてしなかった。ガス会社はガス会社でベストを尽くしたと信じるからだ。
 平時ならともかく、こういう時に電気がわるい、ガスがどうだというような話は?のつく話である。
 

 東京電力が、給湯や調理などすべてを電気でまかなう「オール電化住宅」の普及を推進してきたことが、今回の電力不足に拍車をかけている。
 この3年間で戸数が倍増し、最大で原子力発電プラント2基分にあたる約200万キロ・ワット分の電力消費能力が増えた可能性がある。東電は、東日本巨大地震後、計画停電をせざるをえない状態で、オール電化の普及策は抜本的な見直しを迫られている。
 東電によると、管内9都県のオール電化戸数は2002年3月末時点で1万3000戸だったのが、08年3月末に45万6000戸になった。10年末には85万5000戸に倍増した。「原子力は発電時に二酸化炭素を排出せず、地球温暖化の防止につながる。省エネにもなる」とアピールし、電気料金の割引を適用してきたが、急速な普及策が裏目に出た形だ。

 
 むしろ今は原発を新たにどこかに作るというのが難しいだろうことは全員の共通した認識として、今後はエネルギー行政をどうするか、ということを真剣に考えなくてはならない。そうなると風力や水力や火力、太陽光についてもっと真剣に考えないといけないだろう。ただ、風力や火力は非常に厳しいことが色々あったりする。このあたりはまた次回に。