小説・漫画好きの感想ブログ

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「アグリッパ」1巻 内水融著 感想 

 本年42冊目の紹介本です。
 古代ローマを舞台の歴史大河ロマン「アグリッパ」、いよいよ開幕です。
 時代は、ユリアス・カエサルがガリアを平定したあと、再びガリアの反乱が起きる時代。ガリア最強の部族アルヴェルニ族の若き族長ヴェルチンジェトリックスが反ローマ連合を作り始めるあたりから漫画の物語も始まります。ヴェルチンジェトリックスと腹心のヴェルカッシは、カルヌテス族の族長の息子(少年)タラニスが、村に駐屯するローマ兵たちに殺されようとするところを救出。タラニスは部族を率いて彼らとともにローマへ叛旗を翻した。
 というような始まりで、一応は主人公はヴェルチン(さすがに長いので省略)とタラニスで、相手役はマルクス・アントニウスとユリアス・カエサルという事になるのでしょう。このあたりは先に史実を読んでおくのも一つの手だろうということで、ユリウス・カエサルをヒーローにして描いた塩野七生の「ローマ人の物語」もしくは、逆サイドのヴェルチンを主人公にした佐藤賢一の「カエサルを撃て!」あたりをお勧めしておきますが、漫画ということで史実をより大げさに、かつ大胆にアレンジした歴史物語が展開していくことになるかと思います。実際、史実や当時の時代考証からすれば変な部分もありますが、それも物語の楽しさを優先したものとしてみれば十分許容範囲の中のことですので、歴史戦国絵巻としてまずは楽しんでもらえればというのがよく伝わる雰囲気の漫画です。
 ただ、ここで気になるのはタイトルのアグリッパ。この時代のアグリッパというと、普通に思い出されるのはただ一人、後に神格化までされるローマ帝国初代皇帝のアウグストゥスの軍事顧問にして、カエサルがどこからともかく見いだしてきた軍事の天才マルクス・ウィプサニウス・アグリッパだと思うのですが、、、現時点ではアグリッパは出てきておりません。ひょっとしたらタラニスがアグリッパ? になるのかも知れませんが、時代的に微妙に重なりませんので、このあたりは謎のままです。
 1巻が終わった時点で、いまだカエサルすら出てきていない漫画ですから、2巻以降でアグリッパが出てくるのかも知れませんが、打ち切りの経験を数度している内水融先生がそんな出し惜しみ的な展開をするとも思えず、いまだにこれは謎のまま、あとのお楽しみになっております。
 

アグリッパ―AGRIPPA― 1 (ジャンプコミックス)

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