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大河ドラマ「江〜姫たちの戦国〜」第6話光秀の天下 感想

 上野樹里主演の大河ドラマ「江」の第六話「光秀の天下」を見ました。
 先週の、「本能寺の変」も疾風怒濤の速さの展開でしたが、今週もまた随分と早いあらすじ紹介のような展開でした。先週、織田信長を討ち取った明智光秀の三日天下はまさに一週で終わりました。
 豊川悦司の信長の最後をゆっくりと回顧する暇もなく(大河ではひさびさの白装束の信長ではなかったですか?)、徳川家康はあっという間に遠江に戻っていくし、実家に戻った江一行のもとに現れた野武士と家臣たちの戦いは野武士が強いのか家臣が弱いのか一方的な殺戮でカタがついてしまうし、秀吉の中国大返しは見せ場がないままに完了し、、明智光秀はあえなく最後を迎える、という歴史的な事件の見せ場を一瞬で片付けていってしまうこのスピード感に驚きました。これはちょっと今までにない考えられない速さで、本当に驚きました。
 ただ、それ以上に驚いたのは、森蘭丸から明智光秀に届けられた文から続くエピソードです。このドラマでの明智光秀は親の心子知らずというかそそっかしくて意地悪されてみたいな描写が多かったですが、今回の文のエピソードによって、更にその印象は強くなりました。
 どうして信長を討ったのかもわからない。理由をあげればあげれないことはない。けれど、それは天が決めたことに従っただけなのかも知れない。と信長を討ち滅ぼしてしまった事を半ば後悔する光秀の台詞には、海千山千の武将達が入り乱れる乱世を勝ち抜いてきた英傑の一人としての深みがあまりにも感じられませんでした。 
 むしろ、その光秀に対して「もしあなたが天下を取ったのなら、太平の世を作って下さい。叔父上を討ったことを許せるとしたらそれだけです」と言い切る江のほうが人間の普通の感情を越えた神聖さを感じられるくらいでした。
 このあたりこそが、今回の大河ドラマが、武将達の生き様や戦そのものを描いた男性中心の物語ではなくて、姫たちの戦国というサブタイトル通りに女性中心の物語である、ということの力強いメッセージなのでしょうね。
 でなければ、光秀と秀吉の激突にせよ、中国大返しにせよ、細川忠興の葛藤にせよ、あのあたりだけで十分一回分の回数を稼げるシーンを削ったのは拙速ですから。
 ともあれ、この大河ドラマは本当に主題がハッキリしていて、見せたいところ、伝えたいところ、主要人物にだけ徹底的にスポットを浴びせるところなど、どこもかしこも目的がハッキリしていて見ていて面白いです。いい意味での少女漫画的な割り切りが、若年層やいわゆる歴女ではない普通の女性層の取り込みを実現するなら、これはこれで十分にアリの大河ドラマだと思います。
 素直に面白いです。

 

 追記、信長さんのカットがなかったので豊川悦司の吸血鬼バージョン。でも、こんなノリの信長ではありました^^