小説・漫画好きの感想ブログ

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「官能小説家 烏賊川遙のかなしみ」 蒼崎直著  感想 

 本年14冊目の紹介本です。
 タイトル通りに、官能小説家のお話なんですが、いたってシチュエーションコメディ的なギャグ漫画です。古き良き、といっていいのかは微妙ですが古典的な官能小説家の先生と、現在的な萌え絵ロリコン系タッチの同人誌挿し絵描きが一緒に仕事をすることになったら、というお話。
 エロスに対する考え方、萌える・興奮するツボの違い、作品の雰囲気の違い、それらのすべてに横たわるジェネレーションギャップ。二人ともが真剣であればあるほど、その苦悩が大きく笑ってしまいました。老先生からすると、萌えだとか男の娘だの、猫耳、しっぽ、ロリコン、アンドロイド、エルフなんてのは論外も論外、どこにエロスを感じればいいのかと頭が痛くなりっぱなし。若手同人誌絵描きからすると、腰巻きと前掛けの違いもわからなければ、ギャルゲーやケータイ小説すら知らない先生にある意味カルチャーショックの連続です。
 ただ、そういうシチュエーションコメディだけに、長続きするお話ではなく、この一冊だけでこの話はおしまい。よみきり短編コミックとなっております(まぁ、二巻以上ネタも続かないでしょうからちようどいい頃合いです)。
 絵柄が優しくて、どぎつい雰囲気や、官能小説家を題材にとっているのに、少しのいやらしさというかエッチ度合いもないというこの漫画、とても奇妙ですが、たまにはこういう変化球も漫画文化の一つの方向としてはありなんじゃないかなとそんなことを思う次第です。


官能小説家・烏賊川遥のかなしみ (リュウコミックス)

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