小説・漫画好きの感想ブログ

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「もしもし、運命の人ですか?」 穂村弘著 感想

 今年11冊目の紹介本です。
 初読みの穂村弘さんのエッセイです。歌人として有名な方ですが、自分にとっては初読みの方です。色々なところでも取り上げられていますし、自分の昔の彼女さんがよく読書日記に挙げられているので、気にはなっていたんだけれどズルズルと読まずにきたのを年末から年明けにかけて読みました。
 歌人の方の初読みを、短歌の歌集から入らないのはある意味邪道なのかも知れませんが、僕は、詩というものに対する感性が低いのでしょう。全く知らない人の言葉だけの美しさや強烈さ、強さ、華やかさ、哀しさに感動しづらいたちなもので、その人の人となりや生き方、時代が理解できたほうがよりはっきり好き嫌いを感じるたちなので、こういうエッセイから入りました。
 (芸術とその人の人間性は無関係かいなか。犯罪者でも評価するべきかどうかといった議論がよくされますが、僕はどうしても、そこにはやはり関連性があるだろうし、犯罪者であれば評価すべきではないという方により強くシンパシーを覚えるタイプなのです)
 
 で、その結果というか率直な感想なのですが、この穂村さんという方、かなり妄想癖がありすぎます(笑)。いや、決してそれがいけないわけではなくて、むしろ楽しい方なんですけれど、恋愛についての、あるいは女性との関係について「お前は中学生か!?」とツッコミたくなるほどの妄想を繰り広げてくれます。とにかく女性にもてること、女性から「あり」だと思われる、思われないということについて、四六時中気にしすぎるその姿勢は、ある意味立派なのかも知れないけれど、そんなに四六時中恋愛モードで疲れませんかというレベルでした。 
 そのあたりは読んでいただくしかないんですが、とにかく恋愛に対するアンテナや、少しでも隙あらば恋愛しよう、どこかに恋愛の要素が転がっているかもと探し続ける姿勢はある意味徹底していていっそすがすがしいくらいで、ちょっと特殊な人です。
 まぁ、そうはいっても、いたく共感するところもかなりあったりしますし、そうであればちょっと自分自身に苦笑いするところもあったりで、嫌いなタイプではありません。むしろ、自分がもし女性なら絶対につきあわないタイプだなぁと思う一方、めんどくさい相手だけれど友達の一人にこういう人がいたら面白いだろうなぁと思わずにはいられませんでした。
 50近くなって、なにを真剣に合コンに期待しているんだ? とか、女の子のほっぺたを触るのが無上に楽しいと何を力説しているんだ? とか思ったりしますが、でも、そういう恋愛を楽しみに楽しんでいる姿勢が微笑ましいというかなんというか。あ。でも、これを書いておかないといけないんですが、そういう人なんですが、不思議と下品さは全くないのです。だからこそ許されているという見方もありますが、こうした恋愛に対する意識の強さがエモーショナルな歌人としての力になっているのかも知れません。
 そんなわけで、人となりというか人間性は愛すべき方だとわかったので、次には歌集を一つ二つ読んでみたいと思います。
 
 追記:この恋愛妄想の強さはどこかで見たことがあるなぁ、、と思い出してみると自分も大好きでしたが岡村靖幸にどこか通じるものがあるような気がします^^

もしもし、運命の人ですか。 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

もしもし、運命の人ですか。 (MF文庫ダ・ヴィンチ)