小説・漫画好きの感想ブログ

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「できるかなクアトロ」 西原理恵子著 感想 

 本年7作目の紹介本。
 西原理恵子さんの体当たり体験レポート第四弾です。
 たぶん、この本のヒジュラの話、どこかで見たような気がするんですが、後半のお話はまったく覚えがない、、、、なんとも謎です。さて。内容のほうは例によって例のごとくサイバラさんが、世界各地の無茶苦茶なもの、環境、仕事、暮らし、食を体験レポートするというものですが、今回の冒頭はインド。
 かの地には、ヒジュラという、女装の男性達がいます。ゲイというのでもないし、お姉マンというのでもおかまというのでもなくて、とにかく女性の姿をした男性(ただしどう見てもかなりの確率で男にしか見えません)です。彼ら(彼女ら? )は、すべてのカースト制度の枠の外にいて、普段は侮蔑されたり気味悪がられたり迷惑がられたりするのですが、いざ踊り出すと豊穣の象徴として拝まれたりします。彼らは年に一度、インドの一地方でのお祭りにインド全土から集まってきます。地域の人たちは、一夜にして小さな村に溢れかえるニューハーフ的な人々を迷惑がっています。なにせ、彼女らと神様の疑似結婚式の盛り上がりのあとには、「まぁ、相手が男でもいいじゃないか」という男性も集まっきて、あちこちで毎回大盛り上がりというか大騒動のようですから、無理もありません。
 彼女らは死ぬと衣服をはぎとられ、靴でたたかれ、二度とこんななりそこないに生まれてくるんじゃないよといわれて送り出されるそうです。けれど、そんな彼らはストリートチルドレンや行く先が無い子供たちを拾ってきては育て大学にやったり一人前の人間にしたりするのに身銭を惜しみません。身内にも組織内部にも厳しく、お金にはがめつい一方そういう聖人のような事も平然とします。聖と不可触が入り交じった不思議な世界です。
 西原さんはそのまっただ中に飛び込んで、彼女らとしばらく一緒に暮らしリポートをしてゆきます。恐ろしいことに、自分は女装した男だと偽って、ですが。
 西原理恵子さんの本から、離れられそうで離れられないのはこういうのを読むからでしょうか。亡くなった旦那さんの鴨志田さんを主人公にした映画とかはあんまり興味がもてないんでけれど、この人の漫画はきっと読み続けていくことでしょう。
 ちなみに、映画「酔いがさめたら、うちに帰ろう」は、鴨ちゃん役を浅野忠信、西原さん役を永作博美のキャストで映画化されるようです。そして、「毎日かあさん」は鴨ちゃん役を永瀬正敏、西原さん役を小泉今日子のコンビでやるようです。どちらに転んでもなんだかもの凄くイメージが違いすぎるような気がするんですが、どうでしょう?

できるかな クアトロ (角川文庫)

できるかな クアトロ (角川文庫)