小説・漫画好きの感想ブログ

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『エイリアン虚空城」 菊地秀行著 感想 

 ひさびさにエイリアンシリーズ、というか八頭大のトレージャーハンターシリーズの新刊が出ました。エイリアンシリーズはかつてソノラマ文庫だったのが、少しずつノベルズになっていたわけですが、こういう流れになったのなら意味はありましたね。
 このエイリアン・シリーズは、八頭大という高校生が世界をまたにかけるトレージャーハンターつまりは宝探し屋で、世界各地に眠る宝物をめぐって冒険活劇を繰り広げるというある意味正統なジュヴィナル作品です。敵はエイリアン絡みのことが多いので、主人公は主人公で最先端化学兵器をつぎ込んで戦うというのが大筋で、結構それが痛快で高校生くらいの時はワクワクして読んだものです。 
 リキッドアーマーと呼ばれる、スプレータイプの防弾スプレーがあったり、飲むタイプの固形酸素薬を飲むと数時間水中でも息が出来たりとか、完全プラスチックの拳銃がが出てきたり、ひとつひとつのアイテムがあり得ないんだけれどかつこいいなぁと子供の時にははまったものです。
 また、作品的にも「キリストとユダ」を扱った『エイリアン黙示録」なんかはお話としても凄くかっこよかったし、鍋島家の怪猫をあつかった「エイリアン怪猫伝」なんかは本当に真夏に読むと怖い怪奇物語でした。
 なので、そんなエイリアンシリーズの新刊が出たというのは、懐かしい友達に出会ったようでちょっと嬉しかったです。
 
 で。今回のタイトルは『エイリアン虚空城」。誰にも知られることなく、世界の空の上に全長何キロというような巨大な城が浮かんでいる。そして、そこにはギリシア神話の伝説のメデューサが住んでいて、、、という冒険物語。まぁ、設定だけでも荒唐無稽なんですけれど、そこにフランケンシュタイン博士が絡んでいたり、と内容盛りだくさんで楽しませてくれます。
 そして、長年のファンには驚いたことに、あの太宰先蔵氏が過去篇にですが登場します。太宰ゆきのおじいちゃんで、伝説的なトレージャーハンターという設定でたびたび言及されていましたが、そのおじいちゃんが今作には登場します。それも、ちょっと意外な、というか、ちょっと驚きの秘密が明らかにされます。明らかにファンサービスなのですが、こういうのがあるのも長いシリーズのファンには嬉しいサービスです。

 欲を言えば、、表紙や挿し絵のキャラクターが天野喜孝キャラでなくなっているのが残念です。新しい人も悪くはないんですが、ちょっと作品のイメージが違う気がします。

エイリアン虚空城 (朝日ノベルズ)

エイリアン虚空城 (朝日ノベルズ)