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「舞い降りた天皇(下) 初代天皇「X」は、どこから来たのか」 加治将一著 感想

 天皇の来歴と古代の謎を探る、小説の形をかりた古代史仮説。
 タイトルの「天皇Xはどこから来た何者なのか」という結論に至る前段階として、卑弥呼のこと、金印のこと、国津神天津神などのことを検証していく本書はなかなか知的にスリリングで興味深かかったです。箸墓古墳に埋葬されている人物についてもなかなかに説得力のある説として卑弥呼の後を継いだ女性を挙げていたり、どう読んでも邪馬台国の場所が特定できない理由についても説得力のある仮説を立てていて、歴史好きの人がいたら是非意見を戦わせたいような本でした。
 邪馬台国は九州にあったわけでもなく、近畿にあったわけでもない。そうきくとトンデモ本のように聞こえますが、どうしてそうではないのか、そう見えるようにされていた理由はなになのかというようなことを古代史の流れをきっちりと押さえながら論証していく過程がとても面白かったです。
 天皇がどうして万世一系でなくてはならないのか。
 でも、天皇のルーツが朝鮮半島流れの渡来人であること自体は、いまどきどんな日本人でも知っていることだと思いますが、それが誰であったのか、どういう風な流れでそうなって、どうしてそれが大和で朝廷を開くことになったのかは、今までのいろいろな説では気になったり賦に落ちなかった点がこの本ではある程度明確な理由付けがされています。
 歴史好きの人は、一度読まれてみるのをお勧めです。
 そうそう、磐長姫と咲矢此花姫の姉妹の神話なども、この本を読んでからその名を聞くとかなりぞっとした話になったりします。

舞い降りた天皇(下) 初代天皇「X」は、どこから来たのか (祥伝社文庫)

舞い降りた天皇(下) 初代天皇「X」は、どこから来たのか (祥伝社文庫)