小説・漫画好きの感想ブログ

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「新・魔獣狩り12 完結編・倭王の城 上」夢枕獏著  感想 

 夢枕獏の「魔獣狩り」の完結。
 「餓狼伝」と「キマイラ」と並んで、ひょっとしたら終わらない物語なんではと言われていた夢枕獏の三大伝奇小説の一つであるこの「魔獣狩り」も、この12巻と次の13巻でいよいよ完結となりました。
 内容云々の前に、最初の最初からここまでの期間がとにかく長かったです。
 巻末あとがきによれば33年間だそうです。おぎゃあと泣いて生まれた赤ちゃんが立派な中年のおやっさんになるまでの期間です。その間コツコツコツコツと書き続けられていた物語というのですからひたすら長いです。まぁ、他の二作品のうちのキマイラはそれを上回るまさにライフワークとなるのがはっきりしているのですけれど、、、ファンは最後までついていくでしょうねぇ。
 さて。
 内容。間があいちゃったので忘れがちですが、今回はいよいよ卑弥呼らの隠した財宝のありかが分かります。また、蘇った空海と一体化した黒御所がどうなるのかというのが見どころ、読みどころとなっております。そもそものこのお話の肝が、卑弥呼が残した莫大な黄金の財宝伝説と、空海が日本を呪った謂われだったのでその本筋に立ち返っての話がこの巻の中心になっています。
 夢枕獏さんの小説ということで、途中のあたりはかなり格闘とかのほうにベクトルが傾いていましたが、ここにきてそれもありきですが本筋に戻ってきました。ただ、黒御所と空海の話は本筋なんだけれども、ちょっとトーンダウンの気配がありありで、そのあたりが次の最終刊でどう決着がつくか次第でこの物語全般の評価が決まりそうです。

新・魔獣狩り12 完結編・倭王の城 上 (サイコダイバー・シリーズ24)

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