小説・漫画好きの感想ブログ

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尖閣流出ビデオ 国家公務員の守秘義務厳格化は正論

尖閣流出ビデオについて。
 世間では、あのユーチューブへの流出をとてもよくやったという風に評価し、英雄視する声すら溢れているようであるが、僕の個人的な見解でいえば、個人的にはいたってまずいことをしてくれたもんだと思う。内容云々、どちらが悪い云々はさておき、国家公務員、わけても海上保安の最前線にいるはずの海上保安庁の誰かが情報漏えいしたという事実はかなり戦慄的なことだと思う。
 たぶん、世間は愛国心からやったことだということで評価しているのだと思う。心情的にはそれはわかる。
 けれど、公務員、わけても今回のような事件に携わっているものとしては守秘義務というものはとても重いものだし、ことがことだけに機密の漏洩なんていうことはどんなことがあってもやってはいけないことだと思う。愛国心があれば何をやってもいいのかというと、それでは秩序も統制も取れないからだ。
 皆が不安視し、ややもすれば軽蔑的に見るようになった中国では、『愛国無罪』なんて言葉があり、国のためを思ってしたことであれば罪は問わないなんてことがスローガンとしてまかり通ったりして、それを見るときには嫌悪の念で見ているはずなのに、これが自国のことになると愛国心だからよいというのはおかしな話だ。法は法、で守らなければならない。
 国益や、本当の愛国者ならば、国の決定には従わず、こうすべきだなんてことが、今回のこの一件で許されるようなことになれば、また英雄としてまつりあげられるようなことになったとすれば、今後、日本はいかなる国との外交もできなくなるだろう。秘密協定というのが使えなくなるというだけにとどまらず、安保闘争のときのような国論を二分するような事態が起こったときに、或いは沖縄の基地移転デモなんかがあったときに、国益を考えれば非合法なことをしてでも国益を守らなければならない、或いは非合法なことをしても支持がなされる、非合法も正当化できるなんてことが雰囲気として容認されるようなことは決してあってはならないし、そんなことになると事態はもう収拾がつかなくなるからだ。
 特に公務員は、国が国としてあるためには、国家の決めた事柄、指示に対しては、絶対に服従しなくてはならない義務がある。それが個人の心情にたとえ反することであったとしても、やらなければならない。そこには、一切の感情の余地はない。そこがないがしろになるというのは非常に危険なことであると思う。
 個々の公務員が、これは政策的に間違っていると思えば、そのレベルレベルの許可された範囲の中で、先日の大阪特捜部の事件のように内部告発というシステムもあるし、政策そのものが気にいらなければ政権交代という現実に起こったことをもう一度させることに全力を傾けるのが正しいあり方であって、自分の信念のためには法を曲げるということは絶対に許されるべきことではない。
 もちろん、緊急避難というものが例外事項としてはあるが、今回のこの尖閣諸島問題に関してはビデオは非公開と早くから決められ、一部国会の一部議員のみの開示という風に、時間をかけて決定されているもので、これには当たらない。
 もし噂されるように石垣島の海保の誰かが中国人に銛で殺されたとすれば、それはとても痛ましいことであるし、やるせないことだと思う。職務の上での危険は着任時から理解していたこととはいえ、悔しくてたまらないだろうと思うし、同じ日本人としてそれには深く哀悼の意を表明する。腹立たしいとも思う。しかし、だからといって、それを非合法なやり方で公務員の服務規程を破り、守秘義務もおかし、日本国というものの司法や情報に対する信頼をすべて失わせるようなやり方は絶対に許されないとも思う。 
 公安部の情報が流出したことからの連鎖的な要素もあると思うが、あまりに思慮がたらなすぎるし危険なことだと思う。

仙谷由人官房長官は8日午前の衆院予算委員会で、沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を撮影したビデオ映像が流出した問題について、「国家公務員法の守秘義務違反に関する罰則規定は軽く、必ずしも抑止力が十分ではない。秘密保全に関する法制のあり方を早急に検討したい」と述べ、機密漏えいに対する厳罰化を検討する考えを示した。
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追記 警視庁と検察が容疑者未詳のままで、刑事告発になったようです。不正アクセス禁止法とかいろいろ余罪がくっついていますね。