小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

「結界師」31巻 田辺イエロウ著 感想

 結界師、最新刊です。
 少し前に30巻を紹介したばかりですが、タイミングの関係で連投に近い感じで31巻です。
 この31巻では、主人公・墨森良守の兄の苦悩がより深く見えてきます。
 いまだ高校生の弟・良守が土地に選ばれ正当継承者となったのに対して、兄である彼は、圧倒的な呪力・精神力・体術をもち、なおかつ夜行という秘密組織すら手足のように使えるにも関わらず、選ばれませんでした。選ばれなかったからこそ、そういう道に進んだと言えなくもありませんが、自分のほうがより力があり能力もあると自負するものにとっては、それはプライドを傷つけられることでしかありませんでした。それを、ようやくと受け入れられるようになってきたものの、今度は彼が属していた組織そのものが崩壊してしまいました。
 人間である身ではいかんともしがたい敵の正体が明らかになっていく中、彼は禁断の術を使って死体の一部から人間を再生したりと少しずつ危ない方向に道を踏み外していくように見えます。根っこの部分では弟を認めた以上、崩れようがないとは思うものの兄の苦悩はまだまだ続くようです。

結界師 31 (少年サンデーコミックス)

結界師 31 (少年サンデーコミックス)