小説・漫画好きの感想ブログ

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「エンバーミング」4巻  和月和弘著 

 和月和弘氏のフランケンシュタインもののシリーズ第四作です。
 19世紀のロンドンを舞台に、ジャック・ザ・リッパー切り裂きジャックに、アバーライン警部、ジョン・ドゥ、女王陛下、マイクロフト・ホームズなどが入り乱れる中に、主人公の人造人間ヒューリーが暴れまくる!!
るろうに剣心」で剣術ものを、「武装練金」で能力バトルものを描いた和月氏が、今度は人体の能力を徹底的に強化した不人造人間同士のバトルを描いた本作もいよいよ物語は本題、ヨーロッパ全土を巻き込んだ人ならざるモノたちの戦いにつながっていくようです。
 主人公のヒューリーは、バラバラ死体になっても何度でも生き返れるというメリットがあるものの、しょせんはやはり人造人間。死後改造手術を受けた彼は、やはりどこか生前とは違っていて、狂気を静かにたぎらせています。正義の味方に見えても本当はそうではありません。すべての人造人間を破壊し尽くすのが俺の目的だと叫ぶ彼自身が人造人間というジレンマはつねに彼についてまわりますし、彼の修理は本人の意向にかかわらず否が応でもマッドサイエンティストである人々に委ねなくてはなりません。そういう意味では、どこまでいっても血みどろ、不条理な物語しか彼が主人公では生まれようがありません。
 でも、そういう物語が面白いのは、どこか異形のものに、より強い偏愛と惜しみない愛情とを注ぐ和月氏が著者だからかも知れません。

エンバーミング-THE ANOTHER TALE OF FRANKENSTEIN- 4 (ジャンプコミックス)

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