小説・漫画好きの感想ブログ

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「キングダム」7巻 原泰久著 感想 

 キングダム、7巻です。
 ちょっとずつ揃えながら読んでいます。
 この七巻は、この中華世界を描いた漫画で初めての国同士の合戦を描いています。戦うは、主人公の「信」がいる秦と、猛将連頗がいる「義」、昔から精兵・強兵がいることで知られる秦ですが、今回の戦はかなり歩が悪く、両国ともに消耗戦のような血で血を洗う戦いになっていきます。その中で、戦場で力の限り戦う信の成長と、ごくごく当たり前の話なんですが、身分や階級によって戦争の風景や実戦が大きく違うことが描かれます。
 我々が普段読む小説や漫画の主人公は、当然ながら一雑兵ではなくて、軍師であったり、将軍であったり、古今無双の勇者、達人が多いです。そのため、自然、主人公視点でみば、戦争というのは動かす物というか決戦を決めるものという、そういうとらえ方で見てしまいがちですが、一雑兵の視点から見た戦争の風景というのはかなり厳しく、戦闘に突入したら十中八九死んでしまうようなもので、戦争というのはきわめつけに過酷で残酷なものだというのが再確認できます。
 中国の戦争では、あの有名な「アツヨの戦い」なんかでは、秦の白起という将軍は趙に攻め込んだときに、40万人という大量の将兵を皆殺しにします。それも、戦闘中に殺したのではなくて、戦争後に捕虜として捕った40万人に、自分自身の墓を掘らせて生き埋めにして殺したといいますから、日本では考えられない過酷さです。
 そういう状況をこの漫画はリアルなタッチで描いていきます。
 いずれ信が昇進していって、千人長、将軍となっていくに従って、細かい戦闘の一つ一つよりは大計略を主体に物語は進んでいくようになるのでしょうが、こういう底辺の戦いをきっちりと描いているところにこの漫画の本質的な強さというか力の源はあるのかなとそんなことを思う第七巻でした。

キングダム 7 (ヤングジャンプコミックス)

キングダム 7 (ヤングジャンプコミックス)