小説・漫画好きの感想ブログ

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「想い雲―みをつくし料理帖」 高田郁著 感想

 紹介し忘れです。
 大ヒットシリーズの、みおつくし料理帖の第三作目です。
 実は既に第四作で最新刊の「今朝の春」という第四作品も出ているのですが、まずはこちらから。
 シリーズ第三作ということもあって、この巻あたりからは主人公の澪もかなりの安定感を持ち始めます。まだまだ少女ではあるのですが、彼女の料理の腕によって「つるや」という小さな店は江戸でも有名な「安いのにとんでもなくうまい物を出す店」として、料亭には縁遠い庶民に親しまれる店として江戸に根付き始めます。
 今回の巻でいえば「う」づくしということで、うで埋め尽くした料理はまさに読んでいてよだれの出るほど美味しそうなものが並ぶ一方、彼女と一緒に江戸にでてきた主家のごりょうさんとその息子さんに関わる後味の悪い事件に対しても正面から向かい合っていくところに、大きな成長のあとが見えます。もともとがひたむきで、真摯で、いじらしい主人公ではありますが、そこに強さが加わってきてとてもよい感じです。
 

想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)

想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)