「はじめの一歩」93巻 森川ジョージ著 感想
普段は、週間連載のほうで読み流しているので買わないのですが、今回はちょっと思うところあって購入。
ボクシング漫画でここまで長期連載も珍しいし、主人公がこれほど強いのに真摯で前向きでかわいいところがあるというのはちょっと他になくて好きな漫画です。普通、ボクシング漫画に限らず、スポーツ漫画では主人公達やその敵の強さはインフレなみにどんどん上がっていって、荒唐無稽なものになりがちです。しかし、この漫画では主人公やその仲間のジムの面々がどれほど強くなっていこうとも、それと同じくらい敵も強くなっていき、それがきちんとボクシングのうちにおさまっているというのがいいです。
今回主人公の一歩は、今までの敵とはまったく別のタイプと戦います。ジャングル出身の天賦の身体能力が圧倒的なウォーリーという選手と戦うのですが、これがめっぽう強い。がむしゃらに戦闘意欲を出してくる相手とは違って、あくまでボクシングを楽しんでいるだけなのに強いというタイプ。そんな敵に、とことん追い詰められたところで一歩が出す答は、ボクシングの基本の基本に忠実な動き。まず一歩、まずひとつのパンチ。そしてもうひとつのパンチ。すごく地味です。しかし、それが今週刊誌で連載しているほうの話できちんと伏線になっているところ等も含めて、ボクシングがきっちりと描かれているのがこの漫画のいいところです。
20年近く連載を続けて、まだまだ成長途上の主人公達というのが素晴らしいこの漫画、いい意味で更なる長寿漫画になっていって欲しいです。
- 作者: 森川ジョージ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/09/17
- メディア: コミック
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