「魔界都市ブルース 恋獄の章 (マン・サーチャー・シリーズ) 」 菊地秀行 感想
菊地秀行、秋せつらのマンサーチャーシリーズの最新刊。
3年ぶりでしょうか。人探し屋のせつらのお話もたまに読むのは悪くないです。今回は、色々な意味で恋人探しをせつらが依頼されるという趣向なのですが、どの恋愛もまぁ一筋縄ではいきません。魔界都市・新宿では恋一つ取ってみてもなかなかうまくいかないものなのです。
既に死んだ娘の恋愛相手を探ることになる話。
自分自身の分身を恋敵にする話。
突然別れたいと切り出した旦那を問い詰めたら出てきた、昔の恋人の生まれ変わりを探すように依頼される話。
すべてがうまくいきません。それぞれの哀しい想いを結局はせつらが見つめることになります。ただ、この人の場合はそれを受け止めたり、心に刻むということはなく、事件が終われば桜の花びらがどんなに綺麗でもすぐに消えてなくなるようにただただ消えていくだけなのですが。
いっときは、多重人格者としての「僕」「私」だけではなく第三の人格まで発現しようとしたり、物語構造が大きく揺らいだりもしたのですが、このシリーズに関してはのんびりゆっくりと紡がれていくのかも知れません。これは最初の「魔王伝」と「夜叉姫伝」が物語の完成度・緊迫度ともに強すぎたせいかも知れません。
魔界都市ブルース 恋獄の章 (マン・サーチャー・シリーズ) (ノン・ノベル)
- 作者: 菊地秀行,末弥純
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2010/08/31
- メディア: 新書
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追記:菊地秀行といえば、吸血鬼ハンターDもので、「D-悪魔村」が近刊で予定されています。ひょっとしたらもう出ているかもです。