小説・漫画好きの感想ブログ

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「マラザン斃れし者の書2 碧空の城砦」  スティーヴン・エリクソン著 感想

 表紙がずいぶんと、かわいらしいタッチになっているのでジュブィナルもしくはライトノベルのように見えますが、実は結構硬派なハイファンタジー。
 世界は、人類以外にもいろいろな亜人、魔人、獣人たちが暮らし、それぞれの生活をもちながらもいくつかの大帝国や文化圏に分かれるこの世界。主人公のパラン(といってもこの主人公がずっと主人公なのかかなり懐疑的なのですが)は派遣膨張主義の帝国軍の中においても、その皇帝直属の駒として、大陸に出て行きます。 
 しかし、この主人公の動きには、本人や上官たちの意志以外にも、この世界にいる様々な神々の思惑や意志が絡んでおり、物語は簡単にすすみません。彼自身の謎や神々の目的もわからなければ、彼がいくつかの勢力の駒であるように、当然ながらその敵対勢力の側も別の駒を動かしており、彼は何度も殺されそうになったり、助けられたり、本人でさえもわからない力によって神を攻撃したりさえします。
 このわけのわからない状態をわからないままにほうって話が進んでいく、そして人間以外のそれら神のことや魔法のことも必要最低限どころかかなり説明なしですすめていくのが、いかにも洋風なファンタジーだなと思われます。これに比べれば、トールキンの「指輪物語」などはあまりにも説明過剰(それゆえにエルフやドワーフ、ホビット、ゴブリンという現在ファンタジーやRPGにかかせない基本設定を創造しえたわけですが)すぎるなと思えます。どちらかというと、イマジネーションや雰囲気で話が転がっていくところは、登場人物は上位の神の駒という点もあいまって、マイケル・ムアコックの「メルニボネのエルリック」シリーズにより近い感覚といえます。
 さて、この巻では、人間が創造される前の時代の事柄や、人間はどこから出来たのか等が描かたり、一人の神が現実世界に生身の王として君臨しているといったような新しい事実がどんどん増えています。が、さきに書いたようにまだまだ世界は混沌としていて、つかみどころがありません。剣と魔法と、因縁と陰謀が渦巻く世界だということしかわかりません。
 引き続き継続して来月も買って読んでみます。一応、来月の三巻で第一部完となるのであれば、それを読んでから第二部以降も読むかどうか決めたいと思います。

碧空の城砦2 (マラザン斃れし者の書)

碧空の城砦2 (マラザン斃れし者の書)