小説・漫画好きの感想ブログ

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「バーテンダー17巻」 城アラキ著 感想 

 バーテンダー17巻、最新刊です。
 今回は隠しテーマとして、自立、巣立ち、旅立ちといったキーワードが用意されているような話が多数収録されておりまして、お酒を飲んでもいないのに、「しっかり頑張らなきゃな」と自分を鼓舞させてくれるような読後感をもつ巻でした。
 例えば、主人公の佐々倉溜が暫くつとめていた、バー・イーデンホールの閉鎖を機に独立の機運が高まる中、その弟子の翼くんが、ホテルマンとしての仕事を捨てて彼についてバーテンダーとして生きていくかどうか葛藤するのがこの巻の大きな流れなんですが、その中で自分の中では絶対に強いと思っていた父親が母親の病気に涙を流しそうになるのを見て、大きく揺れていく話。また「神のグラス」佐々倉を、一流ホテルの中にわざわざ新たにバーを作って迎え入れた、カーディナルズホテルの会長が命の終わる最後に酒を飲みにくる話。それから、過去作品に登場して印象的な出会いと別れを迎えたとあるカップルが結婚と出産報告に現れる話。いずれもが、世代交代と新しい旅立ちを暗示させる話です。
 湿っぽくなく、涙を見せるシーンもあるものの、説教くささはないのですが、それぞれがそれぞれの立場で自分の夢や人生にむかって全力で立ち向かっていかなくてはという気にさせられる話ばかりです。バーテンダーというお話、最初の頃はグルメ漫画の変形亜種のようなところもありましたが、この巻あたりまでくるとそういうものは全くなくなっていて、いい意味で人生訓的なものがたくさん読み取れるような味わいが強い作品になってきています。
 (勿論、くどいですが、説教臭さはなくあくまで読みやすい漫画として完成されていますのでご安心を)
 感想書いていると、無性にバーにいきたくなるダイエット時には困った本ではありますが、おすすめ。

バーテンダー 17 (ジャンプコミックスデラックス)

バーテンダー 17 (ジャンプコミックスデラックス)