「コンシェルジュ」20巻 いしぜきひでゆき著 感想
コンシェルジュ見習いの涼子がアメリカに旅立って、提携ホテルのフロントで頑張りだしてはや数巻。
日本とアメリカのサービスの違い、ものの考え方の違いがうまくお話に組み込まれていてうまいです。チップに対する感覚の違いや、不必要と思って受け取らないことがまわりの同業者に対して悪影響を与えるであるとかは、日本人で自分のやり方に信念がある人であればあるほど気がつかない話だと思いますし、計算問題についての感覚も日本人であればある程度の四則計算は当たり前に暗算でクリアしてしまえるけれど他の国ではその能力のばらつきの幅が激しいことや、日本人なら当たり前で臨機応変で対応できることにもまずは役割分担やマニュアルが先にありきの国ではそうはいかないことなども改めて再認識したりするし、、漫画なんだけれど、ビジネス目線で「あぁそうか」とひっかかったり気づきになるところもあったりして、侮れない漫画です。
あ、もちろん、漫画として面白いのは言うまでもありません。
海外で活躍の涼子の話のかたわらで、日本では、ホテルに長期滞在している漫画家の有明と、才色兼備のスーパーレディの鬼塚さんがラブコメ的展開でちょっと進展があったりしますので、、昔からのファンはニヤリとする筈です。この漫画、こういう細かい伏線を拾っていきながら、それが大きく一気に展開していかないところも、品があって好きなところです。
強いて弱点をあげれば、絵のデッサン力や、タッチなんですが(総じてどのキャラもややマッチョで、女性はふくよかすぎるし体格が良すぎる)、それも見慣れてくれば個性の範疇。なかなか面白い漫画なので、末永く続いて欲しいです。
- 作者: いしぜきひでゆき,藤栄道彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/07/09
- メディア: コミック
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