小説・漫画好きの感想ブログ

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芥川賞に赤染晶子氏『乙女の密告』、直木賞に中島京子氏『小さいおうち』

 芥川賞と直木賞の発表があったそうで早速見てみた。
 毎年思うことだけれど、ハードカバーで本をほとんど読まない身にとっては、あまりピンとこない話だし、年々その受賞作に対して「あぁ、確かにあれは話題だね」という回数が減ってきたような気がします。まぁ、自分が読む本がマイナーでマニアックだったり、いわゆる文壇の主流というところからは大きく逸脱しているからというのもあるのだろうけれど。
話題ということでいえば、直木賞のほうは冲方 丁の「天地明察」が選ばれるのなら、わりとすとんと腑に落ちたかも知れませんが、この作品は本屋大賞か何かで話題になっていましたもんね。

日本文学振興会は15日、第143回芥川賞・直木賞(平成22年度上半期)を発表した。芥川賞赤染晶子氏『乙女の密告』、直木賞に中島京子氏『小さいおうち』が選ばれた。
 赤染晶子氏の『乙女の密告』は、1回目の投票から票の過半数を獲得。投票は3回続いたが評価は変わらず受賞に至った。芥川賞選考委員の小川洋子氏は「最終的には鹿島田真希さんと赤染さんが残り、2作受賞になるかどうかという点でもっとも長い時間をかけた」と選考の過程を語り、最終的に「“アンネ・フランクを密告したのは誰か”という歴史的・社会的なものを題材にもってきつつ、“自分は誰か?”という文学的なテーマに落とし込んでいる」(小川氏)という赤染氏の作品のみが3回の投票すべてで過半数の票を集めていたことを理由に、1作品のみの受賞となった。
 中島京子氏は1964年生まれ、東京女子大学卒業。日本語学校や出版社に勤めたのち、フリーライターを経験。2003年に『FUTON』で小説家デビュー。これまで『イトウの恋』(講談社刊)、『ツアー1989』(集英社刊)、『桐畑家の縁談』(マガジンハウス刊)、『冠・婚・葬・祭』(筑摩書房刊)、『女中譚』(朝日新聞出版刊)などを発表している。
 昭和10年に制定された芥川賞と直木賞は、新聞・雑誌に発表された作品のなかから(直木賞は単行本も含む)、芥川賞は純文学短編作品、直木賞は短編・長編の大衆文芸作品の中から優秀作を選定する。1月14日に発表された前回(平成21年度下半期)は、芥川賞が1999年上半期以来の"該当作なし"、直木賞は佐々木譲氏『廃墟に乞う』と白石一文氏『ほかならぬ人へ』が受賞した。

 今回ノミネートされた作品は以下のとおり。

●第143回芥川賞 候補作品
赤染晶子『乙女の密告』(新潮6月号)
鹿島田真希『その暁のぬるさ』(すばる4月号)
柴崎友香『ハルツームにわたしはいない』(新潮6月号)
シリン・ネザマフィ『拍動』(文學界6月号)
広小路尚祈『うちに帰ろう』(文學界4月号)
穂田川洋山『自由高さH』(文學界6月号)

●第143回直木賞 候補作品
乾 ルカ『あの日にかえりたい』(実業之日本社)
冲方 丁『天地明察』(角川書店)
中島京子『小さいおうち』(文藝春秋
姫野カオル『リアル・シンデレラ』(光文社)
万城目学『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』(筑摩書房)
道尾秀介『光媒の花』(集英社)