「つくもがみ貸します」 畠中恵著 感想
実は、本と漫画の感想がたまりにたまっていたりします。
最近は忙しくて、事務所でなんだかんだと午前様とまではいきませんが、11時近くまで作業をすること多く、家に帰るとバタンキューに近い状態で、更新が滞りがちなんですが、半身浴の合間やご飯のおともに本は読んでいるので、これがだんだんとたまりすぎてきています。
はてさてどうしたものか。一行二行の感想でかたづけてしまうべきか、わすれないうちにそうするべきか、それともしっかりするべきか。。。。悩ましいところではあります。
こんなときに、自分の代わりに、さらさらとパソコンのキーポードが勝手に動いて、思っている文章を綴ってくれればどれだけ嬉しいことでしょうかとか夢想したりします。
さて。そんな風に、何かのものが自分の意志をもって動くようになる、日本の古来の伝承でいえば作られて百年を経た器物が動き出すのが「つくもがみ」と呼ばれる妖怪です。神、とついているので一概に妖怪といっていいのか迷いますが、まぁどう見ても妖怪ですね。同じ畠中恵さんの「しゃばけ」シリーズや、水木しげるさんの「ゲゲゲの鬼太郎」にも出てくるので、妖怪としてはメジャー級でしょう。
本作は、そんなつくもがみを多く抱えた、損料屋という江戸時代のレンタルショップが舞台のお話。
レンタルショップ、といっても今の時代のそれとは違って、趣味の品はもちろん、毎日の着物やら大工道具すら貸すこともあったというのですから、これはもう火事が多く家財をもっていても意味がないという中級以下の庶民のニーズに合致した生活便利屋さんととらえるべきでしょう。そういうお店をきりもりする主人公と、その義理の従姉妹にあたるお江。どちらも美形の若者で、働き者。客あしらいも悪くなく、町ではそこそこに人気もあり商売もそれなりに繁盛しています。そんな二人だから、お店にいるつくもがみ達も、本来人間たちとの一線は引いているべきですが、この二人には「直接会話をしない」という最低限の掟以外では、好意的に接しています。
二人は、ちょっとしたわけがあって二人でお店を運営しているのですが、そこに絡んでくるのがお江のかつての恋人? の男。粋な俳号をもったその男の影がちらつく限り、二人が結ばれることはないのですが、お互いに歯がゆい気持ちでいるのははたから見ているとバレバレ。でも、長年の習慣でふんぎりがつかない二人。
妖怪ものでありつつも、ラブロマンスでもあるこのお話。
非情に読みやすく、楽しい一冊でございました。
- 作者: 畠中恵
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/06/23
- メディア: 文庫
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