小説・漫画好きの感想ブログ

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「未来医師」 フイリップ・K・ディック著 

 おはようございます。
 フィリップ・K・ディックの日本未翻訳だった作品を今日は紹介します。
 フィリップ・K・ディックと言えば、SF世界における大看板で知らない人もいないんじゃないかというくらいの人でございます(例えば、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」=映画の「ブレードランナー」の原作、「模造記憶」=映画の「トータルリコール」の原作)が、まだまだ未翻訳の作品があったんですねと驚きます。
 作品内容は、SFの中でも処理の難しい時間SF、20世紀の医師が遠い未来の世界にタイムマシン的なもので召還されるという時間SF物。時間SFは、どうしてもタイムパラドックスの問題が絡んでくるのでなかなか処理が難しいというのがお約束で、この作品も同様で、その処理には苦労しているのが伺えます。ただ、巨匠、大御所を相手にこういうのはちょっと気が引けるのですが、、、かなり行き当たりばったりな部分もあるような気がいたします。しかも、、ネタバレになるので曖昧にぼかすようにしか書けませんが、、、主人公の行動って結局遠い未来においては人類がよろしくないことになっているのを確認した作業だったのでは、、という気がします(読んだ人はわかりますよね? 結局あの石板的なプレートがあった世界になる訳ですからねぇ、、)。 
 そういう意味で、傑作かと言われたら、それほどオススメな作品とは言えません。
 設定自体はかなり無理がある物の、料理次第では面白いかなという設定なんです。突然連れていかれた未来は、医療行為というのが許されない、というよりも医療行為が忌避され、人類の平均年齢が15歳という世界。世界の人口は常に一定数になるように管理されているという世界。そこで、未来に呼びだれた医師は非合法でとある人物を臨死状態から引き戻すように依頼されるが、その処理には問題があり過去と未来をいったりきたりする、、という作品です。
 アメリカ作品ですから、そこに歴史観やらラブロマンスやらアクションが盛り込まれるんですが、、、詰めがちょっと甘いかなという印象です。
 未来もの、SFものは好きなので、本当はもうちょっと出来がよければ全力で推したいのですけれどねぇ。。。

未来医師 (創元SF文庫)

未来医師 (創元SF文庫)

 余談。未来医師というタイトルを聞いて、、、「未来警察ウラシマン」とか「魔界医師メフィスト」を思い浮かべる自分はどっぷり80年代作品が大好きなようです。