小説・漫画好きの感想ブログ

小説・漫画好きの感想ブログ

「だから、あなたの部下は育たない」 国吉拡著 

 最近気がついた事だが、中間管理職クラスににむけたビジネス書は、案外、その本の対象読者である中間管理職に対しておもねっている部分がある。部下の育て方、計画のたてかた、コーチングの仕方、気持ちをうまく引き出す方法、そういうものを色々な例をあげたりしながら論を進める本が多い。その根底には、読み手であるあなたはこういう本を手に取っている時点で危機意識があり向上心がある、まじめでもあろう。しかしそれを成果にもっていくやり方がわかっていないので部下に成果を出し切らせていない、成果を出せていない。だから、それを解決しましょう、そういうスタンスである。なので、その本の読み手に対しては一見厳しいことを言っていないことが多いなと最近思うようになった。部下が悪い、上司が悪いということが結構根底にあるような気がするのだ。
 しかし本書は、そういう点でいうと結構ざっくりと読み手を切り捨てる。
 なかには勿論よくいわれる一般論も多いのだが、それでもスタンスとして「あなたが悪いんだ」として、それを箇条書きに近いくらい短く切り詰めてポンポンとテンポよく指摘してくる。前半は人の見極め方や、類例、だめなパターン、後半からが指摘というスタイルもよく考えられている。頭ごなしに叱られて、文章を目で追ってはいるが理解しよう学ぼうという姿勢を失わせないようなバランスと計算がなかなかしっかりしている。
 という事で、案外拾いものの読書でした。

だから、あなたの部下は動かない! (PHP文庫)

だから、あなたの部下は動かない! (PHP文庫)